言い訳

愛人が死んで数日。

葬式の日が来た。珍しくかしこまった服を着て会場へ向かう、遺族の方から案内された席に座る。私は、かなりの時間俯いていたと思う

頭の中に、彼女のメモリアルビデオ、知らない男の歌、楽しくない音楽が鳴り響く。全部どうでもよかった。そして私は眠りにつく



しばらくして葬儀が終わった。「次は火葬か、」私は心の声を漏らす。一応彼女は、かなりの年月関わりがあったため親族と共に火葬場へ向かうことになっていた。

バスの中では、彼女の話ばかりだもうやめて欲しい。彼女がいないのならもはや他人同然、私は今誘拐されているのか。

火葬場へ着いた。また、変な歌が聞こえる。

最後に彼女の顔を見た。ほんの一瞬だった

人のやける匂いは案外良い。

食欲をそそるわけではない。

私がそういう変な思考がある訳でもない。

ただ、まるで母に抱きしめられてた頃のような安心感がある。


気づかぬ間に彼女のいる部屋の扉が開いた。

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