19XX年
電話に出てすぐ私は、無理やり身体を動かす。この時、警察署まで走っていったのは馬鹿だった。でも、私の中の選択にはそれしか無かったのだ。さっきまで読んでいた本を持ったまま目的地に到着した。「霊安室」
物騒だがどうか人違いであって欲しいと何度も思う。警察官から案内されながら遺体の方へ向った。「こちらです。」私は、何度も唾を飲んだ
真っ白い景色をしばらく眺めて、布をめくる
「私は彼女の遺体を見た。」
警察官を隣に私の口は、独りでに動いていた。
「死人のような顔だ。私はこの言葉をお前に使いたい。」警察は不審な顔で私を見る。
それもそうだろう、命のないものにかける言葉なんて傍から見れば独り言だ。
私は、彼女の綺麗な顔をしばらく見ていた。
涙は出なかった。彼女を殺したどこかの誰かに怒りはわかなかった。「今更遅い。」
彼女の顔をもう一度布をかぶせた。
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