第2話
エアカーが第12区基部ポータルサイドステーションのべーサーコースに滑り込むと、小氷と弥深は手を離し、制服姿のまま軽く伸びをした。朝の空気は少しひんやりとしていて、未来の都市特有の光がビルのガラスに反射してきらめいている。
「今日も暑くなりそうだね」と弥深が笑うと、小氷も「うん、でもこのチューブの中なら空調完璧だし快適だよね」と答えた。
改札を出ると、友達の香名と屋杷が既に待っていた。「はよー! 二人とも早い」と香名が声をかける。屋杷もにこにこと手を振る。
小氷は弥深の手をそっと握りながら、「今日はみんなでランチどうする?」と訊いた。
弥深は少し考えて、「ここのステーションのオーガニックレストランカフェでサンドイッチとか?どうかな?落ち着いて話せるし」と提案した。
四人はオーガニックレストランカフェに向かうことにした。頻繁に集まる必要はないけれど、小さな集まりは大事だった。
オーガニックレストランカフェに入ると、窓際の席に座り、透明なガラス越しに通りを行き交う人々や空中を滑るホバーカーを眺めながら、食事を楽しむ。小氷と弥深はお互いの目を見つめ、友達の香名と屋杷は恋愛相談や学校の話題を楽しそうに語り、小氷と弥深も時折混ざって意見を言ったり、微笑みながら聞き入ったりする。
未来の東京、透明なチューブの中を滑るエアカーや光るビルの下で、双子の姉妹カップルは、社会の目もリスクも気にせず、穏やかで自然な日常を送っていた。
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