孤独と憧れを抱く竜騎士候補の恋心

 「田舎の竜は帝国の騎士に恋をする」、このタイトルだけで胸が高鳴りますが、本編を読むとさらに心を揺さぶられます。ミルウスの内側で渦巻く繊細な感情――誇り、嫉妬、孤独、そして幼馴染みへの複雑な想い。貴族の仮面をかぶって耐え続ける姿に、思わず手を差し伸べたくなりました。

 本作の素敵なところは、心の揺らぎや葛藤をBLらしい繊細さで包みつつ、世界観や情景もしっかり描かれていること。竜との絆や学院での緊張感が、まるで自分もその場にいるかのような臨場感で伝わってきます。恋、友情、家族、誇り…さまざまな「好き」のカタチが、静かに、でも確かに心を満たしてくれるお話です。

 読後は余韻が残って、思わず「続きを知りたい!」とページをめくりたくなります。これからミルウスがどんな選択をしていくのか、竜や仲間たちとどう向き合っていくのか――じっくり追いかけたくなる素敵な物語を、ぜひご堪能してみてくださいね。

その他のおすすめレビュー

悠鬼よう子さんの他のおすすめレビュー1,109