第12話 宇都宮バトル

 宇都宮の裏社会は、古くからの名門「白虎会」と新興勢力「玄武組」が勢力を二分し、絶妙な均衡を保っていた。その静寂を破ったのは、白虎会の若頭・竜二の一人娘、ユリが誘拐された事件だった。彼女が最後に目撃されたのは、市民の憩いの場であるはずの釜川のほとり。

​ 白虎会は即座に玄武組の仕業だと断定し、総員に戦闘態勢を命じた。しかし、玄武組の組長、鬼道は「筋違いだ」と潔白を主張する。鬼道は「この誘拐は、白虎会を内側から崩すための誰かの罠だ」と竜二に告げるが、愛娘を人質に取られた竜二は聞く耳を持たない。両組織の抗争は避けられないものとなり、釜川は血なまぐさい戦いの舞台へと変貌していく。

​ 初めに火蓋を切ったのは、白虎会最強のヒットマン、通称「白虎」だ。彼は玄武組の拠点を次々と襲撃し、組織の幹部を抹殺していく。一方、玄武組の若き幹部、シンは、人質であるユリを秘密裏に探すため、釜川周辺の監視カメラの映像をハッキングする。そこで彼が目にしたのは、ユリを連れ去る男が、白虎会の代紋を身につけている映像だった。

​ シンは映像を竜二に突きつけ、真犯人が白虎会内部の裏切り者である可能性を示唆する。竜二は怒りを露わにし、映像の男の正体を突き止めるべく、組織の内部を洗い始める。その男の正体は、白虎会の二番手である、冷酷な男「黒豹」だった。黒豹は、両組織を潰し合わせ、宇都宮の裏社会を完全に掌握しようと企んでいたのだ。

​ 釜川のほとりで、竜二は黒豹と対峙する。黒豹は「お前は娘を救えない。宇都宮の闇は、お前のような甘い男には理解できない」と嘲笑する。しかし、そこへ鬼道とシンが駆けつけ、竜二と共闘する姿勢を見せる。かつての敵と手を組み、共通の敵である黒豹を倒すことを決意したのだ。

​ 釜川の穏やかな水面を背景に、三つ巴の死闘が始まる。竜二は娘を救うため、鬼道は組織のプライドをかけて、そしてシンは真実を明らかにするために、それぞれが血と汗を流す。そして、戦いの末に黒豹を追い詰めたのは、意外にも清掃員として釜川を掃除していた、一人の老女だった。彼女こそ、かつて黒豹に家族を奪われた元ヒットマンだったのだ。彼女の放った最後の一撃が、黒豹の野望に終止符を打つ。

​ 戦いが終わり、ユリは無事に保護された。白虎会と玄武組は、黒豹という共通の敵を倒したことで、新たな関係を築き始める。そして、釜川は再び、市民の憩いの場へと戻っていった。

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