ねじまき人形の少女・マキナ。持っているのは歯車を元に戻せという使命だけ。
歯車を失った国はどこかおかしなことになっており、マキナは使命に従いその国の歯車をあるべき場所に戻していきます。
旅の中で出会う様々な人々、増えていく仲間。そうした人との関わりの中で、使命以外に何も持っていなかったはずのマキナの中にいつの間にか心が生まれます。
けれど、心があれば疑問も抱きます。
歯車を失った国では、そのせいで確かに不幸がある。歯車を正しい位置に戻せば異常が修正され、不幸にあえいでいた人々の顔にも笑顔が浮かぶ。だからこの使命は正しいはずなのに、歯車を戻してはいけないと主張する者も現れます。
自分がしていることは正しいのか。自分は何者なのか。
心を持ったからこその疑問と葛藤を抱きながら、それでも歯車を元に戻すことは正しいはずだと信じて進んでいくマキナ。
そんな彼女を支えるのは旅の中で出会った仲間達。最初は頼りなかった仲間も、旅を続けるうちに頼れる存在に。
童話のような世界観で繰り広げられる、マキナと仲間達の歯車を元に戻すための旅。その先で人形であるマキナを待ち受けるのは、果たして――
砂の果てで目覚めたねじまき人形マキナが、滅びた国で人間の王女ソーンと出会い、使命だけで動く存在から“心を持つ者”へと変わっていく物語。
冷たい鉄と温かな命の対比が美しく、荒廃の中に差し込む一筋の希望が丁寧に描かれています。
ソーンの優しさと信念が、マキナの空洞に芽を育てていく過程は静かで力強く、やがて二人が共に立ち向かう姿には確かな絆が感じられます。
戦いの場面も迫力があり、特に“滅びの歯車”をめぐる最終局面では、運命と再生が見事に結びついていました。
乾いた世界の中に“心の温度”を灯す作品として、余韻深く、美しくまとまったお話です。