1分小説のお手本のような秀作
- ★★★ Excellent!!!
創作落語とホラーがお得意の山本倫木さんが書かれた1分小説です。
とてもコンパクトにぎゅっと引き締まったキレのある作品です。テーマを死体と桜だけに絞って、その分、情景描写と心理描写を充実させているのが伝わってきます。
冒頭の「祖父の家にある桜の古木は、春が訪れるたび見事な花を咲かせる。ある年、祖父がぽつぽつと語ってくれた。あれはタロウが咲かせてくれているんだ、と。」で70字くらい使っちゃって勿体ない気もしますが、この2行の情緒ある文章で引き締まって、ぐっと引き込まれますね。
短いので、ストーリーを語るとネタバレが激しいのでやめておきますが、ホラー色は薄目ながら、なんとも気味の悪い人間心理を垣間見ることのできる作品です。
1分小説のお手本のような見事な作品でした。
これはお勧めです。ぜひどうぞ。