18、人間になりたいっ!
「人間になりたいっ!」
森の中で私は力いっぱい叫んだ。
すると、どこからか声が聞こえてきた。
『お主、人間になりたいのか?』
「誰!?」
『神じゃ。今、お主の頭の中に直接話しかけておる』
「すごっ!」
『ふふっ、驚いたじゃろう? ところでお主。今、人間になりたいと叫んでおったな』
「は、はい!」
『それは何故じゃ?』
「いろんな所に行きたくなったから」
『そうか。じゃが、本当に人間になりたいのか?』
「はい!」
『本当の本当に、か?』
「う、それは――」
『お主なら分かるじゃろ? 戦争は繰り返すし、自然は破壊するし、娯楽や快楽のために他の生物を殺す。そんな人間にお主はなりたいのか? せっかく儂が、人類を滅ぼして自然豊かな世界にするというお主の願いを叶えたというのに、また人間になりたいのか?』
言われて気づいた。
確かに、こんなに平穏な世界を壊してまで人間に戻る必要はないと。
何せ、沢山の仲間と風に揺られている方が、幸せなのだから。
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