14、心惹かれて

「……大丈夫か、少年!」

 その瞬間、瓦礫の隙間から伸びてきたのは真っ黒な手。

 僕は縋るようにその手を掴むと、身体への重みが徐々に消え、そのまま引き寄せられた。

 瓦礫の山に埋もれていたところを、彼が助けてくれたらしい。

「……ありがとう」

「もう大丈夫だからな」

 ワシワシと頭を撫でられる。

 ふと見上げると、彼はニッと笑っていた。

 まるで太陽のようだ。

 激しい破壊音が轟く中、僕の心は決まる。

 いつか彼みたいになりたい、と。





「――ってこともありましたよね」

「懐かしいな」

「でも先輩、どうしてあの時助けてくれたんですか? 僕らから見れば、先輩は敵対組織だったんですよ?」

 敵対勢力の子どもを助けたとなれば、味方から非難されかねない。それ故の疑問だったが、先輩は笑って答えてくれた。

「戦争なんて大人の事情だ。子どもに罪は無いからな」

 あぁそうだ。こんな先輩だからこそ僕は着いて行ったんだ。

 たとえ僕から見て、彼が異星人だとしても――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る