第九章 残された資料1

藤田と木村の失踪から1か月。

現場となった住宅街は、住民の間でも立ち入りが避けられるようになった。


佐藤と中川の手元には、残された映像とノートだけが残っている。

だが、映像の一部はノイズで視認できず、ノートの文字もかすれていた。


「……これ、編集できるのか?」

中川が震える手でPCを見つめる。

画面には、光に歪んだ自販機の映像と、過去の記憶が映し出された缶の連続が映っていた。


佐藤は苦々しい表情でつぶやいた。

「もう、人間の手で整理できる領域じゃない……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る