第八章 最後の記録2
夜が更けると、自販機は再び動き出した。
取り出し口から缶が転がり出ると、それぞれが子どもの頃の体験を映し出すかのようだった。
佐藤の缶は、亡き祖母がくれたオレンジジュース。
中川の缶は、初めて父と行った海水浴場で飲んだラムネ。
「……これを飲むと、消えるのか?」
佐藤は思わず缶に手を伸ばした。
しかしその瞬間、缶は空中で止まり、光を放ち、静かに自販機の中へ吸い込まれていった。
二人の体温は急速に下がり、周囲の空気も歪む。
取材班の機材は次々とノイズに侵され、映像も音声も歪み始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます