第七章 記憶を詰める機械3

夜になり、取材班は再び自販機を監視した。

缶が落ちるたび、光と冷気が強くなり、空気に渦巻くような感覚があった。


そのとき、木村の缶が光り、ゆっくりと宙に浮いた。

そして、自販機の内部に吸い込まれるように消えた。


「……木村!」

佐藤の声が響く。だが手を伸ばしても、彼女は戻ってこなかった。


光が消えると同時に、周囲には缶の匂いだけが残った。

それは甘く懐かしい香りで、しかし同時にどこか焦げた、腐敗の匂いも混じっていた。


佐藤と中川は、互いの顔を見つめた。

「……やばい、これはもう……機械そのものが、生きている」


その夜、自販機の前には誰も手を触れず、ただ“光と音の渦”が残されたまま朝を迎えた。

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