第六章 再びの張り込み2

午前1時を過ぎたころ、異変が起きた。


自販機の照明がまた、ちらつき始めた。

「カラン」という金属音が響き、取り出し口から一本の缶が転がり出る。


中川が恐る恐る拾い上げると、缶のラベルには見覚えのない文字が並んでいた。

「……なんだ、この飲み物……」


だが木村がふと後ろを振り返った瞬間、彼女の表情が凍りついた。

自販機の奥、暗がりに人影がちらりと映ったのだ。


「誰か……いる?」

誰も答えられない。人影はすぐに消えたが、その一瞬の気配は、確かに“人”のものだった。

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