第四章 消える取材班メンバー3

缶の中を覗いた中川が青ざめた顔で報告した。

「中、空っぽです……。でも、匂いが……変なんです」


彼の手は震えていた。

缶の内部からは、甘いソーダの香りと同時に、どこか焦げたような臭いが漂っていたのだ。


「まるで……焼けたフィルムみたいな匂い」

木村がそう呟いたとき、佐藤のスマホに通知が入った。


差出人不明のメール。添付されていたのは動画ファイルだった。

再生すると、暗い映像の中で藤田がカメラを構え、笑っていた。


『見えるか? これだよ、俺が撮りたかったのは……。

中に……人がいるんだ……!』


画面が揺れ、最後に自販機の投入口が大きく映し出された。

そこから伸びた“白い指”が、藤田の肩を掴んだ瞬間――映像は途切れた。

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