第六章:呪いの代償
阿偉の異様な姿は、俊介を絶望させた。彼の友人だった阿偉は、すでに呪いの一部となり、赤い服の少女の操り人形になっていた。
「さあ、お前も来なよ。そうすれば、皆、楽になれる」
少女は微笑んだ。
俊介は震えながらも、老女の言葉を思い出していた。「呪いは、血を求めている。それを終わらせるには、始まりの場所で、血を流すしかない」
彼は、持っていた小さなナイフを手に取った。
「違う、呪いは血を求めているんじゃない。謝罪を求めているんだ!」
俊介は、そのナイフで自身の掌を切りつけた。そして、その血を、祖父が使っていたという古い釣り糸に垂らした。
「我が祖父の過ちを、私が償います。あなたの家族を奪った罪を、私が受け入れます。どうか、もう、この呪いを終わらせてください!」
俊介の叫び声は森に響き渡った。
その瞬間、池の水面が激しく揺れ、人間の顔をした魚の群れが水面から飛び出した。彼らは、俊介の周りを円を描くように泳ぎ、やがて光の粒となって消えていった。阿偉の顔から鱗が剥がれ落ち、彼は気を失ってその場に倒れた。
赤い服の少女は、驚いた顔で俊介を見ていた。その目からは、怒りも憎しみも消え、ただ寂しさが滲んでいた。
「……ありがとう」
少女はそう呟くと、光となり、池の中へと消えていった。
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