第五章:森の呼び声

メッセージは、俊介を祖父が失踪した森の池へと誘っていた。彼は、この呪いを終わらせるには、自らの手で過去と向き合うしかないと悟った。老女から受け取った地図を頼りに、一人、森の奥深くへと足を踏み入れた。

森の中は、異様な静けさに包まれていた。鳥の声も虫の音もなく、ただ腐葉土を踏む自分の足音だけが響く。進むにつれて、木の幹に奇妙な傷跡が増えていった。それは、まるで魚の鱗をこすりつけたような、光沢のある痕だった。

やがて、彼は地図に示された池にたどり着いた。水面は不気味なほどに静まり返り、濁った水面には、まるで何かの顔が映っているようにも見えた。その時、池の畔に、赤い服を着た女の子が立っているのが見えた。

「やっと来たね」少女は言った。

彼女の目は、ただの子供のそれとは違っていた。底知れない古さと、恨みがこもっていた。

「お前の家族は、皆、この池に連れてこられた。そして、私の家族になったのさ」

少女は、池の底から光るものを取り出した。それは、古びた釣り糸と、人間のような顔をした魚の頭蓋骨だった。

「これは、お前の祖父が私に残した贈り物だ」

その時、背後から腐った魚の匂いが漂ってきた。振り返ると、そこには顔の半分が魚の鱗に覆われた、阿偉の姿があった。彼の口からは「家族……家族……」という言葉が漏れていた。

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