第16話
学園長室で暫く待っているとノックがした。
「どうぞ」
悠が許可を出すと、ナグサ、アヤメ、ニヤ、カホが学園長室に入ってきた。
「急に決めてしまってごめんねみんな。でも、今の君達に必要な事だと思うしこれから先、君達がどんな道を歩むかはわからないけど君達の未来を切り開く為に大事な事なんだ。それと他の八咫烏のメンバーや上級士官とかは士官候補生を傍付きにして後進の育成に務めないといけないんだけど俺はまだ傍付きをつけてなくてねそれで学生ではあるが見どころがあると思ったから特例で認めてもらったんだ。」
「私達なんかで悠さんはいいんですか。他にも適任の人が」
ナグサが悠に質問する
「ああ問題ない。それと俺の傍付きの期間は天王寺本家で生活してもらう。生活設備は勿論の事機密に触れない程度の論文とかなら読んでもらって構わない。訓練場もね。それと君達にはこれを渡しておこうと思う。」
そう言って悠は銀色のカラスの紋章が象られた指輪を4つ渡した。
「それは魔導省で一般人が入れなかったり利用出来ない所を利用出来たり魔導省の食堂でそれを見せれば食事も無料で食べられる。後、八咫烏の待機ルームにも入れる鍵みたいな物だよ」
「それとその指輪には俺と直ぐに通信出来る様になってるから何かあったらすぐ連絡してくれ。連絡がつかなければ俺の専属執事とメイドである駿と鷹央に言ってくれれば俺に伝わるから大丈夫だ。それで早速だが今日の午前中は魔導省の見学そして午後からは天王寺家の見学だけだから安心してくれ。それと俺もそれなりに仕事があるからその間は別の人間が訓練を担当したり講義を担当したりする。でも全員俺が信頼してる人間だから安心してほしい。それじゃあ早速向かおうか。車が来ている」
そう言って悠は4人を連れて学園長室を出て天王寺家の車で国立魔導図書館に向かった。そして図書館の奥にある黒い扉の前まで連れてくる。そして自身のローブに付いている金色の八咫烏の紋章を翳すと扉が開き全員で入り込む。すると中はエレベーターになっていて自動で下降を始めて目的地に着くと八咫烏のメンバーが普段待機している待機所に到着した。
「此処が俺が所属している八咫烏の詰所だよ。散らかってるのはいつもの事なんで気にしないでくれ。そしてここから少し歩くと魔導省に繋がっている。まぁ魔導省の方に行く事は殆ど無いけどね俺達は。」
そして悠は廊下を歩きながら魔導省と繋がっている扉を開けて魔導省に入ると悠は訓練場や講義場を紹介した後最後に魔導兵器開発局の一室を開ける。
「智ちゃん今大丈夫?」
「あれ悠君今日は休みだったはずじゃ?それに後ろの子達はこないだの子達だよね。」
「この4人を特別に傍付きにしたんでね。それで今は魔導省の見学中でね。出来れば魔導具とかの講義とかは智に頼みたいなぁと思ったんだけど駄目かな?」
「まぁ私で良ければ空いてる時間に講義はしてあげるけど私より頭いい人いるよ」
「いや他の連中は俺と仲があんまり良くないんだよ。特にお偉方は八咫烏は勿論の事俺は物凄く嫌われてるからな」
智の質問に自嘲気味に言った。
「これで魔導省の説明は大体終わりだ。それじゃあ天王寺本家に向かおうか。後、俺はちょっと用事があるから天王寺本家の方は義母さんと駿に案内してもらってくれ。鷹央、お前は俺と一緒に来てくれ。」
そう言って智の部屋を出た悠は駿達5人と別れて鷹央と共に魔導省のロビーから外に出て天王寺家の車に乗り込む。そして空港に向かった。
その頃アメリカの空港では3人の人間が飛行機に乗り込もうとしていた。1人は長身で細身でだが決して弱そうには見えず黒いローブに青いラインが入った物を身に纏っていた。2人目は白い帽子に白いローブを身に纏っていて赤のストールが特徴でかなりの美形であり女子に見間違えそうな少年であった。そして3人目は緑色のキャップを被った茶髪でボブカットの人物で両手にはジュラルミンケース背中にはランドセルの様な鞄を背負い込んだ人物だった。
「さて悠に久しぶりに会うがどうなっているのやら」
「大丈夫だと思いますよ兄さん。先生は強いし頭もいい。きっと向こうでも上手く立ち回っていますって」
「ボクは久しぶりに魔術談義に花を咲かせたいな」
3人はそれぞれそう言いながら飛び立った飛行機で会話をしながらそれぞれ魔術書や剣の手入れなどを行っていた。飛行機が日本に着くのは明日の午前4時位だ。そしてこの飛行機プライベートジェットなのでこの3人しか乗客はいない。その為機密書類を出しても問題ないと判断したのか黒いローブに青いラインが入った物を身に纏っている青年が書類に目を通して次々と片付けていった。
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