第17話

鷹央と共に天王寺家の車に乗り空港に向かった。向かった理由は勿論親友達の出迎えの為だ。本当ならまだまだ時間はあるのだが話さないといけない事が沢山ある為車の中で纏めておく。そして自分の今日、やる予定だった仕事を鷹央に協力してもらって片付けた。その後空港に入り喫茶店を見つけて入店した。ここの喫茶店は24時間営業なのでそのまま親友達が来るまでいる事にした。そして自分と鷹央は紅茶を頼み更に鷹央は苺のショートケーキとチーズケーキを注文していた。鷹央と駿の兄弟とはかなり長い付き合いで俺が天王寺家に養子入りして直ぐに専属の執事とメイドとなった。そして年が近い事もあってかよく3人で出掛ける事も多く一緒に食事もしている。鷹央は昔から甘いものが大好きで喫茶店に入ったらまず間違いなくケーキなどのデザートを2品以上注文して完食する。ただこれには訳があって鷹央は昔から相手の感情を機敏に感じ取ったり思考力が常人より高いのでその分、脳が疲弊するのだ。その為定期的に甘いものを食べて脳のリフレッシュを図っている。実際に疲れている時は人の感情を読み取ったり思考が普段より下がったりしているので仕方ないのだが。そして喫茶店でお茶をしながら適当な話をしていると親友達が乗った飛行機が到着した。その頃にはもう既に空港に着いてから日が替わり夜が明けようとしていた。そして今回招いた親友達のところに手を振って駆け寄って行くと先ず白い帽子に白いローブを身に纏って赤いストールが特徴的でかなりの美形であり女子に見間違えられそうな少年が走って来た。

「久しぶりですね悠先生。ずっと会いたかったんですよ。まさか悠先生の方から日本に招待してくれるとは思ってませんでした。当分は日本に滞在するのでよろしくお願いしますね」

そう言って少年は悠にハグをした。それを見ていた後ろにいた黒いローブに青いラインが入った物を身に纏っている青年が少年を嗜める。

「ソーン、ここは空港だぞ。周りの目も気にしろ。そして久しいな悠。あの時は随分と世話になった」

「アダム、気にするな俺は単純に親友を助けただけだそれに俺にとってはソーンはもう1人の弟の様なものだからな。それとニコラも久しぶりだな。」

そう言って悠が声を掛けたのは緑色の帽子を被った茶髪でボブカットにした一見女性に見間違えそうな青年だった。

「ボクの事も覚えててくれて嬉しいよ。また技術面で話出来たら嬉しいな。」

「鷹央、紹介するよ。先ずそこの黒いローブの彼がアダム・ユグニエフ。現在のアメリカの名門ユグニエフ家の当主だ。そして隣にいる白い帽子に白いローブで赤いストールが特徴的なのがソーン・ユグニエフ。ユグニエフ家の当主補佐兼当主代行。そしてそこの緑の帽子を被っていてボブカットの青年がニコラ・ペルリニエ。魔術技師だよ。3人とも俺の親友でアメリカに留学した時に下宿させてもらったユグニエフ家の兄弟とアメリカで有名な魔術技師だ。3人とも得意分野は違うけどそれぞれがその分野では超一流だよ。」

「そんな悠兄さんのお陰でここまでなれたんだよ兄さんがいなかったら今も昔のままだよ。それに友達がいなくて信用出来る人がアダム兄様しかいなかった時に悠兄さんが友達になってくれたお陰で助かったんだ。」

ソーンが笑顔で悠に話かける。

「ここで長話もなんだし重要な話もあるから後の話は車の中で天王寺本家に向かう中で話そう。鷹央、車の運転を頼む」

そう言って悠はアダム達を車へと案内した。

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