第15話

今日からグリモアの生徒達の指導をする事になっていた悠だったが昨日、突然倒れてしまった。だが朝の4時には目を覚ますと浴室と併設されている脱衣所に向かい誰もいない事を確認して病衣を脱ぐ。そこには全身傷だらけの身体があった中には戦闘でついたとは思えない古傷もあり悠はその古傷をそっと撫でながら浴室に入りシャワーで体を洗い流し顔を洗う。そして魔導省の制服に着替えてその上から八咫烏の紋章が刻まれたローブを羽織り通信石である人物に連絡を入れる。

「よぉ久しぶりだな」

「そっちこそ久しぶりだな。どうした急に連絡なんかしてきて」

「お前とその弟に頼みたい事が出来てな」

「わかった。アイツもお前に会えて嬉しいだろうし暫くこっちも大きな事件も仕事もないから後1時間後の便で行くよ。」

「迎えには行くから其処は心配しなくていい。しかしいいのか。詳しい内容も聞かないでそんなあっさりと」

「親友で恩人の頼みを無碍にするほど落ちぶれてないしなんなら今からでも家にお前を迎え入れたいとすら思ってるよアイツが思った以上にお前に懐いていたからな。」

「じゃあ詳細は明日迎えの車の中で話そう」

「わかったそれじゃあまた明日」

そう言って通信を切った。

そして食堂に向かい食事を済ませて洗面所に向かい歯を磨いて訓練所に行き昨日の夜から乱れた魔力を自分でも整えた。魔力を整えてその後仮眠をとった。これから生徒達に教えるのに講師が倒れてはいけないからだ。そして先程の通信相手は自分にとって今生きている中で数少ない仕事や家族とは関係ない親友のうちの1人だ。ここ数年は会えてなかったが自分が魔導研究士として世界でも活動出来る様にする為に留学した時に出来た親友達だ。彼らには今回来てもらった時にある程度は隠すが秘密の一部を話しておこうと思う。そして悠は今日の日程を確認した。今日は魔導省と天王寺家の施設の見学と紹介くらいなのできっと思ったより時間が余る。その為実の兄弟である辰巳にも例の秘密を時期尚早かとも思ったがいざという時の為に話しておこうと思った。そして午前7時になった為、駿と鷹央を呼び出してグリモアの学園長室で今日の予定を詳しく話しながら4人の生徒が来るのを待った。

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