第9話 少年とドラゴンの散歩
「おおい、」
エルは自分の目を疑った。偶然見つけた秘境に過去見送ったドラゴンがいたのだから。テンパったエルは草に身を潜める。
(もしかしたら別のやつかもしれない、、様子を見よう)
しかし、どんどん近づいてくるそいつは大きさも色も、姿もほぼほぼ一致していたのだ。たくさんの切り傷を負っていたけど。があぁぁ「あぁぁ、、、ドラゴン!」久しく合う嬉しさに思うより先に声が出た。
「グググァァァァァ」とドラゴンも咆哮し、少年の前に降り立つ。エルはドラゴンの鼻先を包み込むように顔から全身でハグした。ドラゴンも恩人に出会えたことが嬉しくて、けど本当はただ遊んでいただけだなんて思っていたので表面上ではあんまりありがとうとは伝えなかった。ただハグを少し返すだけだった。
「そうだ、街案内してやっから背中のせろ」
と少年が背にまたがってきたのでドラゴンは少々焦った。ちょっと距離が近いと思ったけど、街の見たさに、ちゃんと少年を背中に載せ、崖から飛び降り風に乗る。
ぐぐぐぐううううう。風の重さで息苦しく、掴むのに精一杯なエルはさっきまで大人しくなる予兆はなかったのに、黙り込んでしまうから、ドラゴンは心配になってしまった。
グン、グンと翼による推進力は体を推し進め、揚力によって上昇していく。ある程度の高さになると風が強くなっていき、飛行が安定してきた。安心したのもつかの間、今度は突然気温が下がってむしろ全身が硬直してしまったのであった。もちろん突風も起こるので、エルは街についてもろくに紹介もできないままに家の前に降ろされた。
・・・
「ごめんなぁ、、ちなみにあの赤い屋根のお店はお肉屋さんだ」
「。。。。」ドラゴンは別れが惜しかった。エルもかなぁと思った。今ではもう夕焼けは黄色くなり、緑へと暗さをまし続けている。そろそろ家に入らなくてはならないんだろうな。
「グルぁ、、、」
「、、、また来てな。今度はちゃんとするからな。いつかあの鱗みたいなのがある山自分で行ってやるからな!」
「グガ、、、」
ぱたぱたを尻尾を軽く振りながら、背を向ける。ドラゴンは夕焼けの中へ小さくなっていくが、エルは立ち止まったまま、手を振り続けた。
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