第4話 その魔物、ドラゴンにて

轟々と降り注ぐ雨のなか、エルは目覚めた。

パチリと瞬きをしてから伸びをする。「う〜ん、、、寝たいなぁ、」

(メルンたちまだ寝てるからいいか)とまた眠ってしまった。

「おぉぉきぃろぉ」

金髪の少年がエルの前に立っている。エルとの身長差は10cmほど、声は少し低く、変声期も終りを迎える青々しい年頃であろう。

「・・・・ドスッ、」

「ぐふぉ、やりやがったな!」

エルはいつものことながら懲りない兄に突きを食らわした。

「うるせぇ、自分から起きるわ勝手に起こすんじゃねぇ」

「起きてなかっただろ、」

「そんなんわからんだろ、勝手なこ、、」

あいつの頭どうなってんだ、思慮が足りん。と説教しようとしていたところに予感していた母の声が聞こえてきた。

「ご飯よぉぉ〜」

「、、、二度とすんなよ」

兄のメルンはその言葉を気にもとめずそそくさとご飯を食べにいってしまった。

「無視すんなぁ!」

反省もしない兄に苛立ちながらエルも朝食に向かったのであった。

グルァ。

俺はドラゴン。名前はまだない。気高き一族の末裔にして、最強の宿命を背負わされている。   それなのに、不甲斐ないことに4日前のこと、、無限を食べるドラゴンノンエアーリンと仲間たちと戦っているときに食べられてしまい、人間の群れの中に突然飛ばされてしまった。急なことで混乱してしまった私は全方からの攻撃に対応できず、気絶させられ、売り飛ばされたんだ。

とても焦ったが、運が良かった。いいこと続きで何故かここにいるわけだ。迷ってきたまだ12くらいの小僧が来ただけで焦って鍵を外しやがるし、小僧は俺を手なづけ用途でもしていたのだろう、結局俺を見逃す羽目になった。思えば可愛そうだがありがたいやつだったな、、。

◇◇◇

ハッハッ、、フゥッ、、、ハッハッ

飛ぶのならば高い崖の上がいい、周りが見渡せるし、飛距離も伸びる。

そろそろか、、、

、、着いた。

山がきれいだ。森ばかり進んでいたから、急に景色に晴れられるとびっくりするな。川も流れている。魚が食べたいなぁ、、、ってそんなことを思っているときではない。今にも帰らないと心配をかけてしまうからな。銀色の鱗で覆われた全身をくねるように曲げ、左右を見るがどこにも竜は見当たらない。それもそうかもしれない、俺はあの大喰らいノンエアーリンに飛ばされたんだ。一生再開できない可能性もある。、、そう思ったら心配になるけど、とりあえず故郷のある北に向かうことにした。

  ー飛ぼうとして、翼を広げ、足を踏ん張ったときだった。

「みつけたぁぁあぁ」

驚いて振り返るとそこにいたのは例の小僧。まだ懲りないか、、、。

そのまま無視して飛ぼうと踏ん張る。体が前かがみになり、空気の水滑るかのように風に乗る。

 ミアは一瞬唖然とした、だって見つけた途端に飛び立ってしまったんだから。

待ちに待ったドラゴン、きっと音を感じているかもしれないぞと少しの期待を募らせていただけに、辛くなって鼻がツンとしたが、同時に募っていた愛着も姿を見せる。

ミアは一歩前へ出て大きな声で叫けび、手を降った「このお肉は、もうやる!」。

肉は回転しながら中を舞う。ドラゴンは大した力も込めずに投げられたパスに呆れたが、ちゃんと取りに行った。落ちる地点に急降下し、崖直前で急上昇した。うぉお、ちょっと近すぎたな。書いた冷や汗を吹き飛ばしながら、ドラゴンは北へどんどん小さくなっていった。


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