第3話 ドラゴンの世話
翌日、エルは早朝にこっそり家を出て、昨日の路地へと向かった。
出会い頭、銀の鱗をもった子供のドラゴンはこちらを観察している。
「昨日はごめんよ。俺はこの傷、気にしてないからさ、仲直りしようよ」
エルは不躾なお願いだなと思いながらも、素直に伝えるすべしかもっていなかった。
「グルル、、、グアァ!」
思いは伝わらなかったようで、全力で襲い掛かってきた。
エルは同じ失敗をしないように門で待っていたので、逃げることができた。
大人数がいる表通りに出るつもりはないらしく、ドラゴンが路地から出てくることはない。
商店へ寄ったエルは人の言葉がわからないからだと考え、お肉を持って謝罪の気持ちを伝えようとした。お肉を持って再び現れたエルにドラゴンは今にも襲いかかりそうだ。
「グルゥ、、、ガァァァアア」
即座に逃げる。「これでも、だめかぁ」
引き換えしたエルは、ドラゴンのご飯にお肉をひっそりと置いて、家に帰ったのだった。
◇
「ドン、ドン、ドン、ドン、、、」
銀の甲冑を光らせた騎士たちが闇に包まれた街を行進する。目標はこの街の何処かに潜むあるモンスター。輝く鱗に炎を帯びる目、そのブレスは6000℃に達し、街を一薙すれば、家々が爆散する。その怪物の名前は、ドラゴン。その幼体が密輸されたことが発覚し、騎士団は討伐を命じられた。
◇
エルは振動を感じて目を覚ました。
「、、、、何事だろ」
目をこすりながら窓を開けるとそこにいるのはこの国の英雄たち、騎士。真夜中に行進する姿はよほどの危機が迫っていることを知らしめていた。
「ああ、、母さんたちに知らせないと!」
急いで母と父を起こし、危険を知らせた。しかし、母たちは騎士たちがいるから家にいましょう。安全だから、という。しかし、異様な状況に俺は恐怖が消えなかった。
、、、
翌朝、いつも通り、ドラゴンのところにエルは向かった。鰯雲が空を埋めているが、お天道様と青空が一緒になって除いている清々しい朝だ。騎士が街を徘徊し始めた。ドラゴンが見つかるのは時間の問題で、捕まればきっとひどい目にあるだろう。エルは強い決心と不安を持って八百屋に向かった。少し高級なお肉を買って、いつもの路地に向かう。一歩一歩息を整えて進む、作戦を失敗しないために。エルはドラゴンが追いかけてくると一目散に走った。今日は騎士がいるから一数は少ない。一目散にモンへと駆ける。走る。走る。走る!
「おい!止まりなさい!、、、、、、、、!うわ、ドラゴンだぁ!」
僕を追いかけてきたドラゴンのお陰で、追いかけられずに済んだ。お肉を遠心力を使って、思いっきり投げる。体制が崩れ、手で支えようとしている瞬間、ドラゴンがすごい速さでかけていき、森の中へと突き進んでいった。
(あんなの徒競走してたのか、、、)
ドキドキしながら、ドラゴンを無事逃がせれたことに安心し、トボトボと家と帰っていったエルであった。
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