嗚呼、頭が痛い…

「バイクはオンロード、是は絶対!」

 此処はファミレスの店内、大声出してそう断言する女子高生が眼の前に居る。


 馬鹿の一つの覚えの様にやって来て仕舞った何時ものファミレス、日付は未だ変わらないが深夜の時間帯、流石に近所迷惑に成るからガンマを出すのは気が引け、社用車を私用で使う訳にも行かず家の中では一番大人しく一番静かなXTを出して来たのだが。其れの何かが彼女の琴線に触れて仕舞ったらしい、其れで今眼の前でボロクソに言われてる。


「何でこんな事になってしまったんだ?」

 結局なんだかんだと又トラブルに巻き込まれてるし俺って前世で何かやったんか?、今夜アノ場所に行って仕舞った事を今猛烈に後悔してる…。



 新年度を迎え季節も進んだ、本日は21時に乗務を終え一旦帰宅したのだが、昨日買出しに行けずに冷蔵庫も空、食材も無く明日の休みに食材を買い出しに行く予定。今日の晩飯は途中でほか弁を買って来る予定だったのだが帰宅し玄関を開ける迄それが頭の中から消え、真っ直ぐ自宅に帰って来て仕舞った。

(´艸`*)ヤッパリアホダコイツ


 其れで何時ものコンビニに夕飯を買い出しに来た処までは良かったのだが…。


 店の車止めに制服を着た女子高生が座ってる、時間はもう22時半過ぎているしこんな時間に女の子が一人で?、塾か何かで此処で迎えを待ってるのか?、俺がレジに立って居た時も遅い時間で塾帰りに親御さんが来るのを待っていた子は居た、でも受験間近で最後の追い込みの頃だった気がするんだがもう終わってるし?、其れ位に思って店の中に入ると泣きそうな声がした。


「ちょうど良かった、先輩助けてください!」

 と声が掛かる、此処は少し前まで俺が深夜にバイトしてたコンビニで今は客として通ってる、眼の前の兄ちゃんは俺が抜けたシフトに入って来た子だ、確かに強盗が入った店では在るが、店内の雰囲気が変った為か俺が抜ける時の募集には直ぐに応募が有ったらしい。


 何が有ったのかと聞き出すと先程の女子高生が三十分程前に店内で散々罵って居たらしい。

「何でカップ麺が有るのにお湯が無いの!、如何して温かい飲み物が置いて無いのよ!」

 てな感じで散々罵って居たらしい…。


 此の頃はお湯の提供も年中通してのホットの飲み物も提供もして居ない頃。

「カップ麺売ってるのに入れるお湯を準備して無いの?」って言われたのは俺も経験が在る、春先で日中が温かくなりホットの販売数が減れば缶ウォーマーも引っ込めて居た。

 おでんも肉まんも同様に中止し初夏に向けての商品がラインナップされる、お客様の要望される声が上がり今の様に何処のコンビニでもお湯の提供も、年中通してホット販売も当たり前の様にサービスをする様に為ったんだと思うよ…。


 暦の上では春だが新入生が学校でやっと友達が出来る頃、だが深夜近くに為れば冬と迄は言わないが其れなりに冷えて来る。

 もう一度外を見ると此の辺では見かけない私立らしき学生服、腕で自分の体を摩ってる、寒いんだよな何でこんな時間に羽織る物も持たずに居るんだ?、温かい物が欲しかったんなら帰れば良いんじゃないのか?。

 だとすると迎えが遅れてるのか?、もう三十分もあそこに居るのか…、あの侭だと風邪引いちまうし、とは言っても店内に入れて何時かの悠美見たいに延々と居座られてもな…。

 レジに居る気の弱そうな兄ちゃんじゃ気の利いた対応出来無さそうだし、しょうがないか…。

「訳を聴いてきてやるよ!」

 そう兄ちゃんに声を掛けドアを出た。


「如何したんだ嬢ちゃんこんな時間だぞ?」

 顔を上げたんだが…。

「何だよ⁉オッサン!」

 口が悪り~な此奴!。

「まあ俺の事は如何でも良い、迎えが来ないのか?もう11時になるぞ?」

「迎えなんかこね~よ!」

 答えるのも面倒臭そうにしてそう言うと下を向いた、迎えが来ないって言ったよな?、かと言って此の侭じゃ埒が明かないし、未成年者が保護者も無しにこんな時間に此処で居られても困るんだよな、親御さんに早く来て貰ってお引き取り願わないと…。


「嬢ちゃんに此処に居られても困るんだがな?、もし此の侭の此処に居るって言うんならパトカーに迎えに来て貰う事に成るぞ?、其れでも良いのか?」

 パッと顔を上げた。

「何でオッサンにそんな事言われないといけないんだよ!」

「未成年が夜中に店の前に居られると迷惑なんだよ!」

「店の人間でもないのにでしゃばるんじゃね~よ!」

 切れてる様で又叫んでる、まあ今は此の店の人間じゃ無いから少し強く出ても構わんか。


「確かに今は此処の店の人間じゃ無い、だが俺の元職場で後輩が困ってるのを見過す程薄情じゃないからな。」

「元の職場?」

「嗚呼、御前さん見たいなお客の対応した事も何度も有るしな。」

「ご免なさい、警察には連絡しないでください!」

 途端に顔色が変わって仕舞う、さっきまでの威勢は何処に行ったんだ?。


「ご免なさい、通報しないで下さい。」

 そう繰り返していた。

「家は何処だ?帰れ無いのか?」

「帰りたくない…」

 首を振って答えた。

「だが此の時間に其の格好じゃ俺じゃなくても通行車両が通報するか、巡回してる警らのパトカーに保護されるぞ?」

「やだ、やだ、やだ…」

 と小さな声で繰り返していた、此の子親と喧嘩でもして家を飛び出したのか?。


「どうしたものか?」

 とは言って此の侭店の前に放置する訳にも行かないし、此の子の親だって心配して探してんだろうし…、あゝ頭が痛い!。この位の歳だと親と喧嘩して家を飛び出す事も有るだろうが何とか説得して家に帰って貰わないと…、結局妙案浮かばず前回と同じ事を言って仕舞う…。


「話は聞くから飯喰いにファミレスでも行くか?」

 馬鹿の1つ覚えみたいだな俺…。


 小さく頷くき立ち上がるとまたしても小柄な子だった、如何してこんなトラブルばかり俺の周りにやって来るんだろう?、そんな事を思っていた。


 此の時は親に怒られてでも家に帰るように説得する積算でいたのだが…。

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