第6話 白き塩、富を生む!
織田信長は、佐治水軍海賊衆の抱き込みとスプール船建築と並行して、塩造りにも着手した。
「父上、鎌倉殿から御指示を受けました。塩田を改良し、より多くの塩を生産せよとの指示にございます」
信長は以前、父・信秀に語った新しい塩田の建設を再び提案した。信秀は信長の奇妙な言動に慣れており、半信半疑ながらもその言葉に耳を傾ける。
「ほう、あの時の話か。どうやって塩を増やすというのだ?」
信長は立て板に水のように、スラスラと説明を始める。
「鎌倉殿いわく
信長は前もって図面に書き起こしていた、枝条架の仕組みを見せながら信秀に説明した。
「この枝条架に海水を流し、自然の風と太陽の熱で水分を蒸発させるのです。そうすれば燃料にかかる(経費)と申されてましたが、それが不要となります。
しかもこの方法だと、立体的に構築できるゆえ、狭い土地でも大量の塩を生産できます。」
信秀はその斬新な発想に驚き、目を見開いた。
「…まことか。蒸発させるのに必要な金が減らせると申すか…」
信長は力強く頷いた。
「はい。しかもこの方法で生産した塩は砂に触れぬ為、不純物が少なく、純度の高い良質な塩となるそうです。高値で売れます故、莫大な利益が織田家に入ります。」
「良質な塩とな?鎌倉殿がその様な事まで御存知であるとは……しかし全てが理にかなっている。先人の知恵とは驚きだな。」
信秀は腕を組み頷いた。
信長が鎌倉殿から指示を受けた内容が、荒唐無稽な夢物語では無いからだ。全てが明確な計算と論理に基づいている。
「よし鎌倉殿の指示通りに完成させるため信長が監督をせい。この複雑な図面通りに至急、塩田を形にするのだ!
但しこの事業は、織田家の財産を増やすためのものだ。くれぐれも無駄な出費はするな。」
「承知いたしました。この信長、父上と織田家の繁栄のため全力を尽くします」
信長は父の言葉に深く頭を下げた。
『よっしゃ!上手く行ったぞ。この塩田事業を成功させれば、織田家が日本を統一するための強固な経済基盤を築ける。
昨年手掛けた道路の拡張整備に流通網の発展工事。あれも今後富を生むが、スプール船と同じで今のところは持ち出しだ。
この辺で手っ取り早く収益を上げる柱が欲しい。生活必需品の塩は持ってこいだろう。』
早速翌日から自ら先頭に立ち、父が派遣した足軽や百姓の指揮を取る。
熱田の浜辺に、これまで見たこともない不思議な立体構造物が次々と立ち上がっていく。
人々は信長の行動を最初は奇異の目で見ていたが、やがてその成果が目に見える形で現れ始めると、織田家嫡男への信頼と期待は、日を追うごとに高まっていった。
『人間は正直だな…見る目が変わってきたw俺が転生する前の信長の記憶だと"うつけ"扱いされ始めている事にうすうす気付いていた様だ。10歳のガキがそれなりに苦労したんだな…
さてと…光秀!頃合いだろう姿を表せ!』
「はっ!殿、仰せのままに。」
身長2m20cm体重150kg
筋骨隆々・不動明王の様な巨大な男、明智光秀が実体化する。
「家臣や父上の重臣、何より民、百姓や商人、佐治水軍海賊衆からの信頼も増した。ここらでお前を直臣として召し抱えたいと、父上に御伺いをたてる。許可は出ると思うがどうだ?」
「はい十分かと。2年の猶予の半分で、ここまでたどり着きました。織田信長公として前に進む殿を、支えていく所存で御座います。」
織田仁誠(信長)は、この小さな領地から、日本という大きな舞台を支配する準備を、着々と進めていた。
そして明智光秀を初めての家臣として迎える事になる。
本能寺コンビの描く未来は、この時代の誰も想像しえない、壮大なものとなっていくのであった。
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