平凡JDは乙女ゲームをプレイする⑥
フレデリカはモブたちの名前を叫んだ。
どうやらあちこちで彼らを助けていたらしい。
おい、受けた恩くらい返せよ。
結局、誰もフレデリカを庇わなかった。
静かになった会場の中でただ一人、フレデリカの笑い声だけが響いた。
哄笑って言えばいいの?初めて聞いてもわかる壊れた人間の笑いだ。
どうやら魔法で会場に閉じ込められたらしい。
王子様の護衛の騎士たちは真っ二つに切り裂かれた。
一応鎧着てんのになんであんな風に切れるの?
その後瞬間移動したみたいに目の前に現れると、隣にいた王子様が千切りにされた。
もう声も出なかった。
「えー、こんなテクスチャがあるんだ」とか、「人ってこんな風に切れるんだ」とかしか考えられなかった。
バカなことを考えていた次の瞬間、身体に今まで経験したことのない痛みが走った。
立っていたはずなのに床に転がっていた。痛いところをおさえようとしているのに手がない。目の前に私の足がある。
たまに本で見かける焼けた鉄板を傷に当てられる痛みとはこんなものなのだろう。
痛いと言う言葉も出ない。ただただ叫ぶことしかできない。
なんで痛いの⁉︎痛みはないはずでしょ⁉︎
私の髪を掴んで持ち上げたフレデリカは、私の目を絶対零度の目で覗き込んできた。
手足を切られる痛み以上の恐怖があると、この時初めて知った。
もう私の命乞いなんて聞いてくれない。言い訳をしようものなら、殺してと懇願しようものなら今よりも酷い目にあわされる。
「お前には地獄を特等席で見せてやる」
そう呟くと会場中が見渡せる壇上の机の上に私を置いた。
卒業生、先生、来賓客などなど百人はいただろう人間の全てを一人で殺した。
血の海の中に一人で立つフレデリカには返り血一つついていない。
その後、自分の父親を殺し国王を殺した。
お城が壊れる所を見せつけて満足したのか、私を凍らせた。
あぁ、やっと終わる。
もう二度とこんなゲームやらないんだから。
目の前が暗くなっていった。
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