第5話 現状把握②

パンを食べ終え、一息ついたところで、ツバキが真面目な顔で僕に問いかけた。

​「マスター、この先の行動について、指示をいただけますでしょうか」

​僕は少し考えた。このままこの場所に留まっていても仕方がない。

ゲーム時代と同じようにパンが時間で回復する保証もないから、そのうち食料も尽きてしまうだろう。かと言って、どこへ行けばいいのかも分からない。


​「まずは、この場所から離れよう。街を探して、情報収集をしようと思う」

​僕がそう言うと、忍び装束のシズクがひょっこりと木の上から顔を出した。

​「街を探すなら、私が先行して偵察に行こうか?隠密行動は得意だから、敵に見つからずに情報を集められるよ」

​シズクがそう提案してくれた。

​「ありがとう、シズク。でも、一人で行くのは危険だ。誰か、シズクについて行ってくれる人はいるか?」

​「それなら、私が一緒に行こうか?」

​ユズリハがそう言って、前に出た。

​「私のスキル「水鏡の目」で遠くの敵を捉えられるから、シズクと一緒なら、より安全に偵察できると思うよ!」

​「ユズリハも行ってくれるか!ありがとう!」

​「じゃあ、ユズリハ、シズク。頼んだぞ」

​「はい!」

​二人はそう言って、森の中へ消えていった。


​残った僕とミリア、そして他のキャラたちは、今後の行動について考えることにした。

​「ミリア、倉庫のアイテムを確認してみてくれないか?」

​僕はミリアにそう頼んだ。

​「はい、お任せください!」

​ミリアはそう言って、ウィンドウを操作するような動きをしだした。

「今倉庫を見ているのか?」

「はい!そうですよ」

端から見たら何も無い空中をポチポチする変人にしか見えない。

さっきの自分もこんなふうになっていたのかと思うと少し恥ずかしくなった。

「どうかしました?」

ミリアが不思議そうな顔をしている。

「いや、操作している本人以外はウィンドウが見えないんだなと思っただけだよ」

「そうなんですね。マスターにはこれ見えてないんですね」

こういう会話をしていると彼女たちはゲームのキャラではなく、普通の人間にしか見えない。

ちなみに彼女たちは自分たちがゲームのキャラクターという認識があるんだろうかとふと気になった。

「ミリアはゲームとか分かる?」

恐る恐る聞いてみた。

「はい、私たちがいた所がそう言われるものだと認識してます。そしてマスターが私たちとは違う存在だということもなんとなく分かります」

「ツバキもそんな感じなのか?」

「はい、ミリアと同じ認識です」

なるほど、自分たちがゲームのキャラクターという認識はあるのか。

「倉庫の確認が終わりました。基本的にゲームの時と同じアイテムが入ってましたけど、今までなかったパンがアイテムとして入ってますね。」

やはりそうか。

「今までのパンはどうやって食べてたんだ?」

「あまり意識したことがなくて、分かりませんね~」

ゲームではそこまで作り込まれてないから、認識が曖昧なんだろうか……


他にできることはないだろうか。ホーム画面みたいにメニュー一覧とかあると楽なんだけどなぁ。そう考えてると眼の前に見慣れたゲームのメニュー画面が表示された。

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