第3話 ここはどこ?③
周りがよく知る人物だと分かって一安心ついたところで、今度はここが何処かが気になってくる。ゲームのキャラが実体を持って存在している以上、現実世界ではないはずだ。
では、夢の中なのか?キャラたちにリアリティーがありすぎて、そうとも思えない。たぶん……。
ゲームの中に入ってしまったのか?
でも、ツバキたちはこの場所を知らないと言っていた。新エリアで、まだ探索に行ったことがないだけなのだろうか。
「マスター!敵が近づいてます!」
そんなことを考えていると、突然、ツバキが真剣な表情で僕に告げた。
「ん!?敵って何……?」
問い返す間もなく、僕の周りにいるキャラたちが、僕を中心に円陣を組んで戦闘態勢に入った。
「怖いですね……」
ミリアが僕の傍に寄ってきた。
「戦闘準備しなくていいの?」
「私、戦えないですよ!私が戦ってる姿、見たことあります?!」
うん!ない!
確かにゲームで秘書キャラが戦闘に加わることはなかったから、戦えなくて当然か。
それにしても、敵とやらはどこだ。周りをきょろきょろ見渡すと、木々の間から人の形をした何かが現れた。よく見ると、フォルムは人型だが、でかい!そして頭に角が生えている!これはゲームにも登場していた、オーガではないか?
本来なら慌てるべきなのかもしれないが、あまりにも非現実的すぎて、逆に冷静になっていた。
「レベル30のオーガ2体ですか〜、こっちにはツバキさんはじめレベル100が9人もいるから、余裕ですね!」
えっ?!レベルとか見えるの?
「ミリア、どうしてレベルが分かったんだ?」
「え?普通にステータス見ただけですが……」
ミリアは不思議そうな顔で僕を見る。
普通にって……。
「それどうやってるんだっけ?ちょっと頭打ったのか、記憶が曖昧で……」
「そうなんですか!?それは大変!大丈夫ですか!?」
ミリアが心配そうに僕の頭を触ってくる。これはこれで……いやいや。
「それで、ステータスの見方だけど」
「あっ、そうでした。相手を見て『ステータス』と念じるだけですよ!」
言われた通り、オーガの方を見て「ステータス」と念じてみた。すると、確かにオーガという名前とレベル、HPバー表示などが対象近くの視界に映った。すごい!まるでゲームのUIが現実世界にオーバーレイされたみたいだ。
「マスター、攻撃を開始します」
ツバキがそう言って、静かに刀を構えた。
「うん、分かった」
そう言い終わった途端、「ズボッ、ズボッ」と、2本の矢がオーガの頭に突き刺さった。そのままオーガはあっけなく倒れた。
「ん?矢?」
そう思い、矢が飛んできた方向を見ると、そこには黒髪ツインテールの少女、ユズリハが立っていた。彼女はにこやかにピースしながら、
「楽勝だったね!」
と、元気いっぱいに言った。ユズリハの活発な性格が、その表情によく表れている。
「あれは、私の獲物でした」
ツバキが不満そうにユズリハに抗議する。
「射程範囲内なんだから、射っただけだし〜」
ユズリハはあっけらかんと返した。その天真爛漫さに、ツバキはため息をつく。
「まぁ〜まぁ〜、勝ったんだし良しとしましょうよ。マスターも無事ですし」
ミリアが仲裁に入った。
ゲームで見かけたモンスターが出て、ゲームのシステムが使えた。やはりここは、ゲームの世界かそれに類する世界ではないだろうか……。
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