第2話 ここはどこ?②

改めて状況を整理しよう。僕は会社帰りの電車内でスマホゲームをしていた。

外は大雨で警報も出ていた。

その後、変な音が聞こえて電車が大きく揺れた。

そしてその後の記憶がない。

​これ、死んだな……。


​周りを見渡してみると、深い森の中の開けた場所にいるようだった。あの電車の路線上にこんな場所はなかったはずだ。運良く電車から投げ出されたにしても、景色が違いすぎる。ここはどこだろう?そして、この少女たちは誰なんだろう?

​見覚えがないと言えば嘘になる。なぜなら、彼女たちは『オリジナル・ガーディアンズ』で僕が育ててきたキャラたちとそっくりだからだ。

しかし、それはあくまでもゲーム内のキャラたちで、現実ではない。

​ゲームの世界のキャラとそっくりな少女たちがこんなにもリアルに目の前にいる。彼女たちの存在に現実感がなさすぎて、まるで夢でも見ているかのようだ。


​「マスター、いかがなさいました?」

​ツバキと同じ見た目をしている少女が問いかけてくる。

​「えーと、すみません。ここはどこでしょうか?」

​「申し訳ありません。私たちにも分かりません」

​「ちなみにお名前を伺ってもいいでしょうか?」

​「ツバキです。お忘れでしょうか……」

​ツバキは悲しそうな顔をした。その表情があまりにもリアルで、僕は咄嗟に言葉を継いだ。

​「いや!そんなことはない!もちろん覚えている!」

​ツバキの顔が少し明るくなった。

​「覚えていてくださってよかったです」

​「ただ、こんな形で会ったことがなくて、ちょっと戸惑ってまして……」

​「私もマスターと実際にお話したのは今回が初めてですが、私は間違いなく、マスターに召喚いただいたツバキです!」

​ツバキは、まっすぐな瞳でそう断言した。

​改めて少女たちを見る。そこには、ツバキを含めて28人の少女たちがいた。間違いない。僕が顔採……いや、選りすぐった精鋭たちだ!一人を除いて……。

​その一人をじーっと見つめていると、彼女は首を傾げた。

​「えっ?私の顔に何か付いてます?」

​「いや〜、僕が召喚してない人もいるなぁと思って」

​「ひどい!確かに私はマスターに召喚されてないけど、あんなに尽くしてお世話してきたのに〜!シクシク」

​そいつは泣くふりをしだした。だって、全く涙が出てないじゃないか!

​「誤解される言い方をするな!基本、ホームで突っ立ってるだけじゃん」

​「私のこと、そんな風に思ってたんですね!専属秘書として、様々な情報を整理して、まとめて分かりやすくお伝えしてたのに〜。ひどい!シクシク」

​そう、このウソ泣き女は、ミリアだ。

召喚キャラではなく、ゲーム開始からいる秘書兼解説キャラ。常にホーム画面の横に立っており、お知らせなども彼女の吹き出しをタッチして開く仕様になっている。そして、唯一無二のオリジナルキャラではなく、デフォルトデザインから選択するキャラだった。

​「分かった分かった。ミリアも大切な仲間だ!うん!」

​「やっと私の大切さを分かってくれたんですね!嬉しい〜!」

​さっきまでのウソ泣きはどこへやら。ミリアはきゃっきゃと喜んでいる。

​ツバキたちがよく知る人物だと分かり、いつの間にか緊張もほぐれていた。いや、初対面ではあるんだけどね!

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