役立たずの咆哮

 ヌルは一度諦めた太陽に目を細くした。


 ヌルの前を力強く歩くアインス。晴れた笑顔を浮かべるアインスにヌルも笑顔を浮かべてみせた。何をして遊ぼうか考えているのか、横に垂らした右手を時折揺らしている。

 二人はいくつもの花畑を抜け、一面の白に所々赤が顔を出す花畑へと足を進めていた。白といっても全部同じ花ではなく、どれだけ観察してもしきれないほどの種類があった。

 華やかな香りが魅惑の手を伸ばし、ヌル達の足を止めさせようとまとわりつく。

 しかし、アインスが周囲の景色を観察する様子はなく、ただの通過物のように花畑を突き進んだ。ヌルは花を気にする様子のないアインスにふと疑問を抱いた。

 アインスは未知の物が大好きだ。気になった物があれば、ヌルがどれだけ声をかけても自身の気が済むまで離れる事はない。そんなアインスが見たことのない花に興味を示さないなどヌルには初めての事だった。

 八年という歳月で鍛えられたヌルの勘が警鐘を鳴らす。ヌルは心の中でアインスに謝り、アインスを試した。目の前にいる人がアインス本人なのだと願って。


「アインス様、見てください。この花の花弁、特徴的な形をしていますよ」

「あー、そういうのどうでもいいからさ。さっさとあっち行こうぜ」


 ばくばくと鳴っていた心臓が一瞬動きを止める。

 目の前にいるアインスが、アインスの皮を被った別人のように思えてならず、背筋が凍るような気味の悪さを感じさせた。唾を飲み込み、滲んだ手汗を誤魔化すように拳を握る。

 座り込み、動けないヌルの視界にアインスの靴が入り込んできた。ヌルはアインスの顔を見上げる事ができず、俯いたまま唇を震わせていた。動く様子のないヌルに痺れをきらしたのか、ヌルの腕を掴むアインス。強引に掴まれた腕が鈍く痛んだ。


「何してるんだ。早くこい、ヌル」


 ぐいと腕を引っ張られ、ヌルの中の違和感が強くなる。アインスはこんな風に腕を引っ張る人物だっただろうか、と。ヌルは踏ん張ることが出来ず、アインスにずるずると引きずられた。

 アインスが進む先の花畑は色褪せ、どこか物寂しい水の音が微かに耳についた。

 ヌルは少しでも不安を減らそうと口を開く。


「アインス様、本当にこっちであっているのですか」


 答える声は無い。それどころかヌルの声が聞こえてないかのように振る舞うアインス。そのアインスの様子に胸騒ぎを覚えたヌルだった。

 数度の深呼吸の後、唾を飲み込みヌルは声を上げる。


「アインス様、待ってください」


 再度話しかけても止まらないアインスに、ヌルは掴まれている腕を自分の方へ引っ張った。足にも体重をかけて持てる力の限り踏ん張る。短い抵抗の跡が地面に残り、ヌルの必死の拒絶がアインスの足を止めた。

 ヌルは自分が思わず抵抗してしまった、という事に驚きを隠せなかった。自分が、一瞬だけでも体をコントロールできなかった事にぞくぞくとした不快感が湧き上がり、短い呼吸を何度も繰り返す。

 段々と息を吸うのが難しくなり、頭に靄がかかる。その時、ヌルの腕を掴んでいるアインスの手の力が強くなった。


「おい、ヌル。俺に反抗するなんて良い御身分だな」


 冷たい声がヌルを刺す。ひゅっと息がなり、ヌルは恐る恐るアインスに顔を向けた。

 そこにあったのはヌルを見下ろすかのような冷徹な瞳で。その瞳に映る自分と見つめ合いながら、ヌルは自分が対応を間違えたことに気づいた。

 アインスに不快感を与えてしまった事に気付いた時にはもう遅い。今まで聞いたことのないアインスの瞳や声音にヌルの反抗心は一瞬で消え失せた。


「いえ、違います。俺は……」


 力の抜けたヌルの体が重力に従い地面に落ちる。

 先程まできつく握っていたヌルの腕をアインスが離したのだ。

 アインスは鼻を鳴らし、ヌルの言葉を止めた。開いた口から声にならない息だけがこぼれる。呆然と見つめるヌルの前で、アインスが見せつけるようにゆっくりと口を開いた。

 聞きたくない、という思いとは裏腹に、ヌルの体はぴくりとも動かなかった。

 

「何が違うんだ?お前みたいな役立たず、拾ってやるだけで感謝してほしいくらいなんだが。はあ、俺の役に立たないお前なんか要らねーわ。じゃあな」


 罵倒の言葉を残して、アインスはヌルが不安になる程あっさり引いた。振り返らず去っていく背中を見送るしかできないヌル。

 一歩一歩進むごとに開いていく距離はヌルの心の冷たい所を刺激した。言い表せない衝動がヌルを責めるように思考を歪ませる。だからだろうか。去っていくアインスに思わず手を伸ばしてしまったのは。

 アインスが別人になったのかと思えてならなくても、ヌルにとっては変わらず大切なアインスなのだ。


「お待ちください、アインス様!俺、アインス様の役に立ってみせます。アインス様が不快に思うことはしません。お願いします、行かないでください……」


 情けなく縋りつくヌルにアインスは足を止めた。

 腕を掴み必死に言葉を重ねるヌルは、にやりと口端を吊り上げたアインスに気付けなかった。


「二度は言わない。ついてこなければ置いていくぞ」

「はい」


 アインスは尊大な言葉を重ね、ヌルを促す。顎をあげ、進む先を示すアインスの行動は生前と同じで。目の前に立つこの人はアインスなのだとヌルは自分に何度も言い聞かせた。

 ヌルはそれ以上アインスに逆らうことなく静かにアインスの後ろを歩く。先程と違い、不気味な静けさが二人の間を支配する。

 ヌルはそっと、目を閉じるのだった。


 


 その花畑を抜ける直前、ヌルはくんっと後ろに引っ張られた。ヌルとアインスしかいない空間で何に邪魔をされたのだろうかと後ろを振り向いた。

 視界に映り込んだ存在にヌルはひゅっと息を呑む。ヌルを引き止めたのは幼くなったヌルだった。幼いヌルは何かを訴えるようにじっとヌルを見上げている。

 ヌルはその瞳から逃げるように顔を背ける。


「離して、俺はアインス様の側にいないと駄目なんです」


 ヌルが拒絶の言葉を吐いても幼いヌルが手を離すことはなかった。強引に引っ張る訳ではなく、でも決してそっちには行かせない。そう主張するかのような幼いヌルの姿と生前のアインスが重なる。

 胸中に様々な言葉が溢れ、ヌルは何も言えなくなった。ヌルは気づかなかったが、遠くからアインスが恨めしそうにこちらを見ていた。


「ヌルは、アインス様と一緒にいたい」


 初めはそれが誰の声か分からなかった。間をおいて目の前の幼いヌルが発した言葉だと気付き、目を見開く。その言葉が何よりも一番しっくりきたからだ。

 声にならない言葉が零れる。ヌルはするっと吐き出しそうになった何かを慌てて押し込めた。


「俺は、アインス様から離れられない。意味は同じだろう?なんで引き留めるんだ」


 幼いヌルは無慈悲に首を振る。逃さないようにヌルを正面から見つめる幼いヌルに、ヌルは続けようと思っていた言葉を吐けなかった。

 

「ううん。君はまだ言ってない。ヌルを無視しないで。君の望みはなに?」


 それ以上ヌルは心の底から湧き上がるそれを抑え込む事ができなかった。

 心の奥に隠されていた蓋が剥がれてしまったようだった。

 ――俺の望みは。

 脳内にアインスが浮かぶ。どのアインスも表情豊かでヌルの心に温かな物が広がった。次に浮かぶのは包帯に巻かれたアインス。そして、アインスが遠くに行ってしまった時、胸に空いた目に見えない穴。

 ……嫌だ。アインス様に置いていかれるのは嫌だ。

 はっきりとそれを自覚してしまった。もうヌルを遮るものはない。ヌルは乾き、動かしにくい唇を開く。


「アインス、様と……離れたくない」

「うん。ちゃんと言えるならいいよ」


 ぱきぱきと周囲の景色が凍りついていく。ようやく自分の思いに気付いたヌルを馬鹿にすることなく、幼いヌルは微笑む。

 ヌルは痛む心をはっきりと自覚し、流れる涙を止めれないでいた。

 ようやく訪れた静寂、そしてそれを引き裂く声。それまで沈黙を保っていたアインスだ。


「耳を貸すな!お前はずっと一人で生きていくのだ、心の無い怪物め!」

「違うよ。その人はアインス様じゃない。僕を見ていて」


 そのアインスの声に意識を引っ張られそうになるヌルを幼いヌルが止めた。ヌルの耳に手を当て、その瞳がヌルを真正面から貫く。作られた無音の世界でヌルは涙を零し続けた。

 アインスは取り乱し、言葉尻きつくヌルをなじった。


「何故、そんな我儘が言える!アインス様がどう思うのか考えられないのか!」

「そうだね、アインスに嫌われるかもと怯える君もヌルだ。でもそれが、"俺"の願いを妨げる理由になったら駄目だよ」

「違う、そんな気持ちなど俺にない!」 

「君だってアインスと一緒にいたいからヌルの会話を邪魔しなかったんだろう?」

 

 アインスの輪郭が崩れる。鱗のように剥がれ落ちた装甲の中にいたのはぼろぼろで見窄らしい子供――ヌルだった。

 アインスの姿が見えなくなると同時に周りの景色も変わる。上下が分からなくなる程の真っ暗闇に三人は取り残された。

 肩を大袈裟に上下させながらぼろぼろのヌルは言う。幼いヌルは耳に当てていた手をそっとどけた。

 

「だって、怖いんだ。もし俺が見せたようにアインス様がいなくなったらどうする。俺は、アインス様に捨てられるくらいなら周りの人に嫌われて一人になる方がまだマシだ」


 聞こえてきたその声にヌルは目を開く。欠けていたものが埋まるようにその言葉はぴったりとヌルの中にはまった。

 振り向いたヌルは、俯いている見窄らしいヌルを見た。アインスに引き取られる前のように汚らしい襤褸ぼろ切れに包まれているヌル。

 もしかしたらそれはずっと、拾われたあの時からヌルの中にあったのかもしれない。これは、アインスに捨てられたくないと嘆く自分を無視したヌルの心の叫びなのだ。

 ヌルはぼろぼろのヌルに駆け寄り、手を繋いだ。

 

「俺は、アインス様とずっと一緒にいたいです。それが俺の願いなのです。でも、アインス様に捨てられるのは何よりも嫌な事なのです。俺はそれにずっと気づけませんでした」


 幼いヌルが二人の周りを楽しそうに踊っている。ぼろぼろのヌルから落ちた涙がぽつりと垂れた。


「無視されて寂しかった」 

「もう、貴方の存在に気付いたので無視しません」


 幼いヌルとぼろぼろのヌルの姿が段々と薄れてゆく。最後に、忘れないでねと声を残して二人の姿は闇に紛れた。

 ヌルは胸に手を当てて誓う。


「アインス様に嫌われたくないと思うヌルも、アインス様と一緒にいたいと思うヌルも、全て俺の中にいたんですね。捨てません、どれも」


 ヌルを囲むのは先の見えない暗闇。しかし、先程までのふらふらと地に足のつかなかった不安定なヌルはいない。自分の中心ともいえる心がそこにある、と自覚したヌルは大地に根ざす大木のごとく目の前を見据えた。

 自分一人だけが世界の住人でないような疎外感はない。


 ヌルは目をそっと閉じた。その時が来るのを信じて。


       ・:*+..:+


 アインスの幼少期は孤独が側にいた。

 アインスはレーベ商会の会長、フィーアの一人息子だ。レーベ商会は数々の国を股にかける商会で、平民の子供とはいえ母親の伝手で貴族ですら簡単にできない習い事も数多く経験できた。

 そんなアインスが子供達の中で浮いてしまうのは当然の事と言えた。小さい頃は、それでも仲良くなれたらと積極的に声をかけていたのである。


「アインス様と僕じゃ身分が釣り合わないので、遊んでもアインス様は楽しくないと思います」

「アインス様ほど頭が良くないので、アインス様がするような遊びは僕にはできません」


 そうやって何度断られても、アインスは諦めず声をかけ続けた。そんなアインスはある日見てしまった。そうやって断られた内の一つを別の人と楽しそうに遊ぶ子供を。

 そこで悟った。自分がどれだけ手を尽くし、皆が楽しめるような遊びを提案しても意味はないのだと。そもそもアインスと遊ぶ事自体を彼らはしたくないのだから。

 それに気付いてからはアインスは誰かに遊びを持ちかけることをやめた。一人静かに遊ぶか身近にいる大人に相手をしてもらうだけになった。

 アインスの瞳の輝きが日々薄くなり、笑顔を浮かべる日が少なくなった。


 アインスが日々に退屈していた頃、ヌルと出会った。

 それはアインスが買い物をしに街に繰り出した時だった。路地裏から怒鳴り声が聞こえてきたのだ。


「お前みたいに感情がない悪魔、何で私の所に来たのよ!あんたなんかいらないわ、ここで捨ててやるんだから」


 一人の女が縮こまった子供に怒鳴っていた。興味をひかれ物陰から覗いていたアインスは何をするでもなくその光景を眺めていた。そのうち雨足が強くなり、それを断念して近場の店に駆け込む。雨もやみ目的の物を購入していたアインスにある噂話が耳に入った。

 その子供がいた辺りで馬車が横転して横の家屋に突っ込む事故が起こったという。アインスは嫌な予感に身体を動かされ、ヌルの元へ走ったのだ。


 アインスがヌルを拾って暫く。一人称をヌルと言っているのを聞いて気になったアインスは聞いてみた。するとヌルは、不思議そうに首を傾げながら答えたのだ。


ヌル自分ヌル自分という存在ですから」


 と。その言葉にそれまで不貞腐れていた自分が消えたのが分かった。

 そうだ、俺は変わらない。そして他の奴も俺は変えることができない。なら、今の自分のまま楽しい事をすればいいのだ。




 アインスは急き立てられるように重い瞼を持ち上げた。覗き込んでいた誰かが何かを叫んでいる。水の中にいるように音が籠って周囲の声が上手く聞き取れない。それが無性にもどかしかった。

 かけられていた膜が剥がれるように言葉が理解できるようになる。そうして飛び交う怒号を理解できるようになったアインスは、聞こえた単語に意識を覚醒させた。

 飛び起きようと体に力を入れるが、胴体が軋み視界が回ってしまった。アインスはぐるぐると回る目の前に吐き気を催しながら掠れた声を絞りだす。


「ヌル……は、大丈ぶ、なの、か?」


 それ以上話す事を咳が拒み言葉を遮る。アインスは自分達が事故にあった事を思いだした。焦りが身を焦がしアインスから周囲の景色を観察するという余裕を剥ぎ取る。

 アインスの視界の端でフィーアが覗いているのが分かった。目元を赤く腫れさせたフィーアに心配をかけさせたことへの申し訳なさに心が痛んだ。フィーアは目を覚ましたアインスに安堵の笑みを浮かべた。

 フィーアは目を覚ましたアインスに落ち着かせた声で、アインスが欲しいであろう言葉をかける。


「ヌルちゃんは貴方の隣よ、アインス」


 アインスは焦りで周りが見えていなかった事に気づく。大きく深呼吸をして自分の右隣を見た。

 そこには身体中を包帯でぐるぐるに巻かれ、いくつもの管に繋がれたヌルがいた。ヌルの側には老齢の医者が陣取っており、今も手当てする腕を止めずヌルの治療にあたっている。


「ヌルちゃんの方が土砂崩れに近かったから貴方より傷が深いようです。出血をし過ぎたみたいで、お医者さまが言うには今夜が峠と」


 フィーアは手を強く握りしめ語る。しかし、アインスの耳には何の言葉も届かなかった。

 ヌルが死んでしまう。

 アインスの脳内に浮かんだそれは、衝動的にアインスを動かした。

 上手く動かせない身体を無理に動かしたからか、思いっきり床に叩きつけられたアインス。這ってでもヌルの側へ行こうとするアインスをフィーアが慌てた様子で止めた。


「アインス、貴方も重体なのです。安静にしなさい」


 それでも止まらずアインスはヌルの元へと這っていった。周囲の大人達は重体のアインスに迂闊に手を出してもいいのか分からず、おろおろとアインスを見守っている。

 大人達を混乱に陥れながらアインスはヌルの元へと辿り着いた。そっと手を伸ばし、ヌルの手を握る。


「ヌル、目を、覚ませ……早、く、戻って、こい」


 途切れ途切れにヌルに言葉をかけるアインス。上手く力が入らない体でアインスはぽつりと呟いた。


「死ぬな……」


 フィーアが大人達に頷きアインスをヌルから離れさせようとする。アインスは抵抗を繰り返したが、重傷で動きが鈍いアインスの抵抗など赤子の手をひねるように簡単に押さえ込まれた。

 アインスの手がヌルから離れる直前、僅かにヌルの指が動いた。それにアインスだけが気づけた。

 

「動、いた……!ヌルの、手が、少し」 

 

 その言葉に部屋中の人がヌルに注目する。アインスを抱えようとする使用人もその手を止めた。アインスはいつの間にか置かれていたクッションの上に座らされ、ヌルの手を握り続けた。


 皆が固唾を飲んでヌルを見つめる。アインスはただ、ヌルの手を握り続けた。ヌルが迷わないように。


       ・:*+..:+


 ヌルはゆらゆらと黒い空間を揺蕩っていた。思いだすのは先程のこと。これほどアインスに共有したいと思うものはこれまでにあっただろうか。

 胸に広がるのは喜びだと気付いた。それはずっと前からあったのだ。ヌルがそれに気付かないふりをしていただけだったのである。

 

 不意に左手が熱を感じた。ヌルを拾ってくれた時から変わらない温かさにヌルは顔を綻ばせた。

 熱に逆らわずにヌルは戻る。ヌルの太陽の元へと。



 

 熱を目印にヌルはどんどん上に登っていった。上に行くにつれ体が重くなる。それに負けないようにヌルは左手をきつく握った。

 最初に聞こえたのは懐かしい声。そして、多くの人の気配。ヌルは重い瞼を開いた。

 ぼやける視界に太陽が映った。やつれた顔でヌルを覗き込んでいる。数度の呼吸の後、ヌルは言う。

 

「ヌルにも、心がありました」

「ばーか、んな事、とっくに知ってんだよ」


 くしゃくしゃの顔でアインスは笑う。その瞳から出口を見つけた涙が次から次へ溢れた。ぽたぽたと頬に落ちる水滴。ヌルもつられるように泣きながら笑った。

 その後、手早くアインスは寝床に戻された。フィーアも勝手に動いたアインスを叱りながら、ヌルの意識が戻ってよかったと歓喜の声をあげたのだった。



 

「ヌルに戻ってるぞ」とアインスは笑顔を浮かべる。

 雨雲は役目を終えて去り、代わりに大きな虹が満面の笑みを浮かべてヌル達を見守っていた。

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