9
正直私達には手に負えそうにない問題を前に、何かできる事があるのか。
そんな事を考えながらその後は訓練や事務仕事をこなしていき。
「さて、何だか色々とあった訳だが、それはそれとして今日はめでたい日なんで盛り上がろうじゃあないか。ロイ・ヴェルメリア君! 入隊おめでとう!」
夜、広い座敷席を予約していた居酒屋にてアイザックさんの音頭を皮切りに、約30名程の62支部の面々がドッと声を上げる。
「な、なんか誕生日会みたいで恥ずかしいなこれ……アイザックさんこれ取って良いですか?」
そういう兄ちゃんの肩からは、本日の主役と書かれたタスキが掛けられている。
去年私も掛けさせられたけど確かに誕生日みたい……いや、なんか微妙にフォントが違うぞ!?
使いまわしじゃない! 態々新調してるのこれ!?
それにこの筆跡、アイザックさんか……何故その労力を日々の仕事に当てない!?
「折角作ったんだからしばらく装備しておいてくれたまえ。さーて、酒だ。酒を頼もう。僕はビールを……」
「何言ってんだ。今日あーしら当番だろ」
「へ?」
「写身出たときに出動する当番だって言ってんだよ。だからお前ノンアルな」
「ちょ、待ってくれ! 折角の祝いの場で呑めないなんて残酷だとは思わないかい?」
「あーし下戸だから知らねえ」
「く……み、皆聞いてくれ! 最近僕は酔拳を習得してね。酔っても戦闘力は据え置きなのさ! むしろパワーアップするまである!」
「おいコイツ酔ったら暴れる宣言してんぞー。絶対皆呑ませんなよ。分かったかお前ら」
ミーティアさんの声に皆が賛同の声を上げる。この統率力……やっぱミーティア支部長って感じだ。アイザックさん抜いても階級一番上じゃないのに。
「くそぅ、一体何の為に残った仕事を片付けたと思ってるんだ!」
「提出期限に間に合わせる為だろ」
ちなみに三分の二程はミーティアさんがやったらしいよ。
とまあ結局アイザックさんにはソフトドリンクが提供され、兄ちゃんの歓迎会が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます