人生の岐路とかいうやつ。【詩】

ドラもり

僕は分岐点を越えてしまった。

 僕は路を見失った。手元にあったライトの電池が切れてしまった。他の電池ももはや使い物にならない。先程までの花道が獣道に変貌を遂げたというのに、東西南北いずれも真っ暗で何も見えない。辛うじて月明かりと星空の番人が僕を誘導しようと奮闘する。

 急に歩みが止まってしまう。なのにその場で止まってはいられない。僕を牛耳る無意識がそんな矛盾に満ち溢れた性なもんだからいつの間にか電池を使い切ってしまった。かつての僕というもの、一度路を踏み外したとてすぐ別の路を探り当てた。今回は既に路なき路を進んでいる。最後まで別の路に繋がる保証は全くとされない。しかし途方もないこの旅路を発ったはもう逆を行くことはできない。

 この旅路においては絶対に終点が存在する。ただその終点までに多数の紆余曲折の過程を経ることは本当に耐え難い。そこで特別に路を見失ったものには、月と星に頼って終点まで送迎してももらえるサービスがある。歩かずに向かえる。これはアツい。

 歩くか頼るか。この二択を迫られたとき、くだんの旅人はそりゃあ大概これを選ぶ。明日の僕も、きっと電池の替えを探せない。彼らを頼る日も、そう遠くはないのであった。

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