第2話 吸血鬼の爽やかな朝
アラームは5時から5分置きにセット。6時半くらいにやっと起きる。今日はわりかし元気なのでたまには朝ごはんを食べようと、寝起きの足でリビングに向かう。
眩しい蛍光灯の下、お父さんがトーストを食べていた。朝から固形物を食べる人の気が知れない。冷蔵庫から血のボトルを出して、コップにコポコポ注ぐ。人の血液がぱんぱんに詰まったボトルが、うちには多分もう10本ぐらい常備してある。専門の業者から買ってきたもので、平然とリビングに佇む姿はただのトマトジュースのようだ。
朝昼晩、朝は飲んだり飲まなかったりだけど、食事と一緒にコップ一杯分の血液を飲む。怪奇小説じゃあるまいし、ご婦人の寝床に侵入して首筋にガブッ、なんて今どき誰もしない。真っ赤な血は少し鉄臭くて苦いけど独特の旨味があって、わりと美味しい。半開きだった目が覚めて、なんだか気力が湧いてくる気がする。朝ごはんは健康に良いってほんとなのかも。
ついでにチョコも1つ食べて、憂鬱な登校に向けて用意をする。今日も何事もなく1日を過ごせますように、とヴァンパイアの神様にお祈りした。
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