種族ガチャ外れました

現実逃避星人

第1話 吸血鬼

 私は性格が暗い。というか悪い。ひねくれてるし、性根が歪んでる気がする。かといって悪人かと言うとそうではないが、それは単に悪事を働くほどの度胸がないだけだという情けないやつである。友達もいないから当然外にも遊びに行かず、部屋に引き込もってばかりいる。端的に言うと根暗だし、リアルでは使わないような言葉で言うなら陰キャでぼっちだった。我ながら泣けてくるプロフィールだけど、それもこれも、私が吸血鬼だからなのだ。

 吸血鬼は確かにいます。人外でも人外なりに細々と暮らしています。昔はもっと大勢いたらしいけど、徐々に減っていっているらしい。私も、100%の純粋な吸血鬼ってわけじゃなくて、どこかで人間の血が混ざっちゃってる。私のお母さんとお父さんも吸血鬼だけど、2人とも同じく中途半端な吸血鬼で、血統書をつけたいくらいな純粋な吸血鬼はもういないらしい。

 それと陰キャとどう関係があるかって?大いにあるに決まってる。さすがに焼け死んだりはしないけど、日光は人間より苦手だから外に出るのが億劫になるし、家に閉じこもってちゃ自然と暗い性格になるのは自明の理だ。そうするともちろん友達なんてできないし、できたとしても昼間は疲れやすいので会うのも面倒くさくなるし、まさか夜に会うなんてそれは不良だし不純だしで論外だし。とにかく陰キャと吸血鬼は密接に関係しているのだ。ちなみに吸血鬼だからって身体能力は上かと言うとそんなことはなく、そもそも運動できたら陰キャなんてなってないし。アドバンテージと言えば肌が白いくらいか、でもそれも美白というよりは不健康に白いだけだし、日に当たったらすぐ真っ赤になるし。やっぱりアドバンテージなんてなかった。

 そんな逆境だらけの体質ながらそれでも16年間生きてきたのだから、十分立派だし褒めてほしいくらいだ。生きてるだけで偉いんだ、ってよく聞くセリフだし、友達がいなくても社交性ゼロでも許してほしい。だいたいこんな世界、吸血鬼にとっては生きづらいなんてそんな生易しいものじゃないのだ。

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