10話 記憶喪失
私は飲み物を用意し、七海にトランプを見せた。
「ねぇねぇ、ドローポーカーをやろうよ」
その声に七海はちょっとゲロを吐いた。
「ゲボッ……どうしてなんだ?」
それを見たかるはこう言った。
「七海はドローポーカーで死んでるからね……仕方ないよ」
「そうなのね、あのデスゲームのトラウマかぁ」
「そうなんだ、俺はその事があったからドローポーカーをやるとゲロを吐くんだ」
その時、後ろで寝ていたヤツが起き上がった。
「あ、後ろの人起きたよ」
「そうかそうか、さっき経験した事、話してもらおうか……」
私はヤツにそう圧力をかけた、だがヤツはこんなことを言った。
「どちらさま?」
ヤツは私たちの事を覚えていないと言った。
「なっ……」
「この人、本当に記憶がなくなっているね、すっきりと」
「ここ、どこ?」
「あのね、ここはバンカーっていうところ、あなたは私たちと戦って負けた、いい?」
「戦ったの?あなたと?」
どうやら記憶喪失は本当の事らしい、どうして記憶喪失になったのか、私にはわからない。
「……私の名前、わからない」
「ねぇ、どこかで会った?」
そうかるは言った。
「知り合いなのか?」
「いいや、知り合いではないんだけど、何だろう、知っているような知らないような」
何言ってんだコイツ。
「じゃぁ、名前はヌルでいい?」
私はそう言った。
「どうしてヌルなの?」
「Nullだよ、記憶がなくなってるからね」
「ぬるぽ」
ママがそう言った、その言葉に反応したのは七海だった。
「ガッ」
七海はママの背中をぶっ叩いた。
「古き良き文化ッ!!」
そうしてこいつの名前はヌルに決まった、そして私はとりあえず一段落して、飲み物を飲んだ、どこから来たのか、聞けなくなったな……これからどうしようか。
「飲み物、飲みたい」
「自分で汲め、私のだ、これは」
その言葉を聞いたヌルは自分で飲み物を飲みに行った、しかし、その服、体のスタイルが見え見えだな……
「ねぇ、服とか着替えないの?」
「服……これがしっくりきてる」
「そうなのね、しっくりくるのなら、その服で居なさい」
どうやらピッチリスーツはヌルが気に入っている服らしい、というか服といっていいのか怪しいラインだ。
「くっつく」
ヌルが私にくっついてきた、肌が当たる感覚がした、エロいな。
「暑苦しいから離れてよ」
「嫌です」
どうして私にくっついてるのか……私自身もわからない。
「えへへ」
カルガモの親子みたいに着いてくるのか……?それはそれで困るかもしれないが、それはそれでいいかもしれない。
「今日はちょっと近くでハントを行うか」
私はバンカーの外に向かった、外の資材を持って帰れば、換金をしてくれるという、金策にはちょうどいい。
「外に行くけど、ヌルはついてくるか?」
「ついてくついてく」
本当にカルガモの親子みたいになってるな、そして外に出ると他の人の目が気になった、そりゃスタイルがいい人を連れてるからな、男に狙われるってわけだな。
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