9話 一触即発

私は両手にリボルバーを持ち、一瞬で後ろを向いた。

「あら、物騒だね」

目の前には倉敷の話の通り、白いタイツ……ピッチリスーツに身を纏っている人がいた。

(なんだこの違和感……人間と思えば人間だが、人間じゃないと言われれば、人間じゃない、そして肌が奇妙なほどに白い、そして周りに浮いている物はなんだ……?盾か?)

今まで見た事のない人だった、そしてその人は今は敵対意識はないようだ。

「その銃、しまったら?」

「初対面の人には警戒するんでね、こういう時、ガンマンはこう言うのか?抜きな、テメェのチャカを」

その時のかるの顔は滑稽だった。私の裏の顔が垣間見えたのだから。

「あっそ、なら容赦はしない」

私はその言葉を聞いた時、時を止めた。

「ディラディラディラディラァ!!!ディグユアグレェィヴ墓穴を掘りな

私は12発の弾丸を解き止め中に撃った、そして時が動き出した時、奴は周りに浮いている盾で私の弾丸を受け止めやがった。

「何っ!?」

時止めの連続使用は体に負担がかかる、なのでできるだけ避けたいが、奴はもう盾みたいなやつで攻撃態勢が整っているらしい。

「リロードをしねぇと」

私は物陰に隠れ、リロードをした、2丁だからリロード時間が倍だ、スピードローダーがあればいいんだが。

「ひっ」

私の真横の壁が壊れ、ビームがビヨーンと伸びた、あれに当たったら余裕で消し炭になるね……

「うっ……頭が」

後ろから声がした、どうやらピッチリスーツのヤツが何やら頭を抱えていた。

「今だ!頭に着いているアンテナを撃ち壊すんだ!」

かるがそんなことを言った。そんなの無理に近いが、私は狙った。

(一発で決める、一発で……狙え!)

私は腹を固めた、そして出た弾丸は、アンテナをぽっきりと折った。

(よし、決めた)

「近づいて耳に着いているイヤホンを引っこ抜いて!私は動けそうにない!」

かるの能力なのか……私は走って耳に着いているイヤホンを引っこ抜いた、そして血がいっぱい出てきた。

「これ大丈夫なの!?」

「大丈夫だと思う!」

ヤツは耳に着いていたものがなくなったのをわからずに、耳を抑えていた。

「おっしゃぁ!地面に伏せろ!」

私はヤツの後頭部に蹴りを入れた、あのバーサーカーから習った技だ、後頭部に衝撃を入れれば、訓練された人以外はぶっ倒れるのだ。

「よぉし、マウントポジションだ!」

私は殴ろうと思わなかった。元々啖呵を切ったのは私の方だ。

「うう~」

「どうやら動けないようだね、どうする?」

「ここで始末してもいいが、人間か怪しいし、様子を見て見ようか、それにこのイヤホンみたいなもの、解析してもらおうよ」

「そうだね、じゃ、それもらうよ」

私はこう思った、このまま渡してもいいのかと。

「……悪用しないよね」

「大丈夫だって、それと、頭を押さえてたけど、何があったんだろう?」

「分からない、だけど変な感覚に襲われていたのかな、それかこのイヤホンから爆音が流れたのかのどっちかだね」

そしてヤツは気絶した、問題はここからどうやってバンカーに運ぶかだ。

「二人で運ぶのは無理だよね」

「うん、重そうだし」

「それこの人に言ってる?」

「そう、死人に口なし、だからボッコボコに言ってるのよ」

「可愛そうだね、それに死んだかわからないから運ぶって言ってるのよ」

その結果、私が運ぶことになった、重い。

「しかし、この人、太ってるのか単純に私が弱いのか、どっちなんだよ……?」

私は気合でなんとかバンカーに連れて帰ってきた。

「さてと、あけてにゃ~」

「さらっと猫被るのやめな?」

「いいじゃないのよ、サービスよサービス」

そうしてバンカーのシャッターが開いた、私は自室にとりあえずヤツを置いた。

「これで大丈夫よね」

「この人は……?」

「ああ、襲ってきたから誘拐してきた、本当は私が啖呵を切ったからなんだけど」

「そうなのかぁ~まぁ、この人はどうするの?」

「一旦は回復させて、意識が回復したら話を聞こうと思ってる」

「分かった、だけどママさんにはどう言うのよ」

「そこまで考えてなかったなぁ」

「ただいまーって誰この人、明らかに同人ゲームに出てくるような姿だし、一体何があったのやら」

ママは何が起こったのか分からないという顔をしていた。

「まぁまぁ、話は起きてからで……」

「そうね、捕虜から話を聞くのは殺し屋の仕事だもんね」

「私は殺し屋じゃないから」

後ろには七海がいた。

「俺は殺し屋だ」

七海って俺っ子なんだ……女の格好をしてるけどね……そうして私はヤツが起きるまで、そばにいた、逃げられては困るからな。

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