第2.5話 おまけ
あの後、リンネさんは買いたい物があるらしく、買いに行っていいよと促すとどこかの店へと向かって行った。
まあ最悪、集合場所である少し開けた広場に立っているポール時計に集まればいいんだな。
……と思い、少し街を散策することにした。
街は賑やかで、子供も大人もそれぞれで楽しく騒いでいた。
「こんな時間にでも子供は外にいるんだな」
現在、太陽は沈んでいっており、もうしばらくしたら夜になるだろうと思った。
「しっかし、見慣れない街はほんと、新鮮な感じがするな」
そんなふうに街を見ていると、少しお腹が空いてきた。
「……どっか食べ歩きできるものは──」
そう思って辺りを見渡そうとすると、不意に香ばしい肉の香りが漂ってきた。
「──肉!!」
俺はその匂いに釣られてか、匂いの元を辿っていった。
匂いの元に着くと、日本でお祭りがあるといつもあるザッ屋台!!!…と思える物があった。ちょうどよく空いているようで、駆け足気味に向かった。
「おお…ととっと」
目前まで近づいたけど、いつの間にか並ぶ先客がいた。
「じゃあこれで!」
「はいよ」
店主と客は二つ返事でやり取りをすると、あの炭で焼いた肉の香りが再び香る。
「兄ちゃんはどれを取る?」
「うーん…」
木の板に書かれた黒い文字を見る……のだが、どれも言語が統一されてはいないようで選ぶ余地すらなかった。その中で有一読めるものがあった。
ならば…と口からこぼれる。
「…この牛肉の串を下さい!」
「はいよ。それじゃあ3ガルドな」
…………ガルド?
「えっと……がるどとは?」
「おや?もしかして最近来たタチか?」
「は、はい」
(……タチとは?)
「だったら仕方ないなぁ…ガルドはな───」
──…説明中…──
どうやらこの世界でのお金はガルドと呼ばれるらしく、1ガルド分は銅貨というコインで、10ガルドは銀貨、100ガルドは金貨、1000ガルドは
それを聞いた俺は店長に3ガルド支払い、牛肉の焼き串を一本買った。
「まいど」と店主が言うと横の台に刺していた焼き串を持って差し伸べてくれた。
「はいよ」
「ありがと」
そういい、俺は店を離れた。
「───にしても本当に異世界に来てしまったんだな。俺」
俺はそんなことを活気溢れる街中にて、つぶやいた。
「そろそろ戻るか」
そう思った俺はリンネさんに決めてもらった集合場所へと戻って行くのであった。
異世界で暴れていたら何故か英雄扱いされた件 雨夜類(あまよるい) @AMayLui398
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