夕立

shiki

夕立

カーテン越しが光った気がする。

受験勉強に集中できずにいたハルはすぐに反応した。

雷かとカーテンに手を伸ばして少し開けてみた。

しばらくすると遠くの厚い雲がまた光った。

あぁ、また夕立か。とハルは次の光を待つ。

光は届くが雷鳴はしない。

どこかの急な夕立に皆が慌てて走る姿を想像した。


『対岸の火事』

ハルはこんな熟語を思い出した。

あぁ、頭は受験モードだ。

日に日に増す受験への焦りやプレッシャー、こんなのも他人から見れば対岸の火事だわな。

「私なんか悟ってるよね」とハルはつぶやいた。


雷雨がこちらに来る気配はない。

ハルは気を取り直してシャーペンを握りなおした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夕立 shiki @0508aki-o0808

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ