第2話 数字という悪魔

 数字

 数字とは数えることである

 数えるとは分けること区別すること


 つまり数字こそ人類の差別と偏見の概念である。

 もし数字がなければ分けられることもなく全ては一つである。

 あの人とこの人と分けられることはなくなり

 真の平等

 神の王国がエデンが地上に降臨する


 私はエデン実現の為に動き出す。

 私の考えに賛同する仲間を集め組織を立ち上げようとするが

 なかなか賛同者は集まらない

 来る日も来る日も

 雨の日も風の日も

 辛かった

 娯楽はない

 それでも人類を救う為に資金を貯め準備は怠らない

 そしてついに一人の賛同者に出会えた

 私は彼女と出会えて計画を実行する


 数字という元凶を根絶する為の一歩として

 我が子に数字を与えないで育てることにした

 彼が成長すれば人類をエデンに導く救世主に成るだろう


 教育プログラムは入念に精密に練り上げた。

 何も我が子を不幸にしたいわけじゃない

 我が子には愛情をたっぷりと注いで

 幸せになってもらいたい


 人がいない山奥に家を立て

 計画は始まった。

 自ら作り上げた言語で我が子に話しかける

 開発した言語には数字という概念は一切ない

 きっとうまくいくはずだ


 やがて月日は流れ 我が子は立派に成長した。 

 そして成長した我が子は私と妻を見て

 人を魅了する笑顔で言う

「お父さん お母さん 二人ともありがとう」

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千一識物語 御簾神 ガクル @kotonagare

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