第3話


4月21日

この日はたまたま教室に残って自習してた。

17時半をすぎた頃教室のドアが開いて誰かが入ってきた。

「あれ神崎じゃん、何してんの?」勉強に決まってるだろ

彼の名前は赤葉茜、去年同じクラスだったけど今年は違うクラスになった。

「そういえば神崎さ、あいつから連絡あった?」

あいつ、とは退学した彼のこと、私と赤葉は彼と仲良かった。でも私と赤葉は仲良くない、こいつはなんか馬が合わない、どうして彼はこいつを友達と呼ぶに至ったんだろう。

「ううん、全く」なんで嘘をついたのか今だに分からない。

「そっか」

彼はそそくさと教室から出ていった、何しに来たんだろう。

2年生になって彼がいない2週間を過ごした今、彼が自分の人生にどれだけ色を与えてくれていたのかを実感する。

今の私の人生は時計の針が勝手に進む一方で日々に色はない。モノクロな毎日を歩き続けてるだけに過ぎないのだ。

結局彼と遊びに行くのは7月の後半になった。模試やテストがひと通り終わって気楽なのがそこだからだ。

日常はびっくりする程無に感じるが悪い訳では無い、大丈夫、ちゃんとやれてる。

それでも胸の奥に何かがつっかえてるのはきっと分かってるからだ、この日常の中で私は去年の罪悪感を未だに消化しきれてないということを

その日家に帰ると姉が家にいた、姉と両親の間に何かあったのだろうか。でも今はそんなこと頭になかった。どうして赤葉に嘘をついたのだろうか、自己防衛にも他者の幸せにもならない無意味で無価値でくだらない嘘を、、考えてるうちに眠ってしまった。


夢を見た


彼の夢を見た。


でも見れてよかった。夢でも見なければ次彼と会うまでに彼のことを忘れてしまいそうだったから。



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