第12話
美術館の中を二人で回っていると、河香葉がふと立ち止まった。真っ白なキャンバスがドーンと置かれている。大きさはそんなに大きくないが、上からペンがぶら下がっているのが見えた。
「これ…何も描かれてないけど、書いていいのかな?」河香葉が首をかしげる。
近くに説明書きがあり、二人で覗き込む。そこには「勝手に書いてください。好きなことを書いて、現代アートとしてこの美術館は認めます」と、少ししゃれた字体で書かれてあった。
「現代アートって、こういうのもアリなんだ…」瑞川が小さく笑う。
「じゃあ、落書きしてみる?」河香葉も笑顔を見せる。
二人はペンを手に取り、キャンバスに自由に描き始めた。河香葉は丸や線をランダムに描き、瑞川はちょっとした文字や記号を添える。二人で「ここはハートにしよう」「こっちは星ね」と相談しながら、無邪気にキャンバスを埋めていく。
描き終えたとき、二人は少し息を切らしながらも、満足そうに作品を見つめる。二人の手形や落書きがキャンバスの白地に残り、ささやかな痕跡として美術館に加わった。
「これ、意外と楽しいね!」河香葉が笑う。
「うん、私たちのアートだもんね」と瑞川も笑顔を返す。
二人はしばらくその場で笑い合った。
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