第3話 異変
「あら~ちょうど良いじゃない!次はこっちの服着てみて」
今現在、着せ替え人形のように遊ばれている。
「いや、俺はこれで大丈夫だからもう終わりにしても・・・」
「あともうちょっとだから、ね?」
こんな調子でかれこれ1時間くらいは経った。
なぜ自分のことでもないのにこだわるのか。
いつかこんなことがあった気がするのを感じた。
そんなことはどうでもいいや。
興味があまりない人にしてみれば辛くて仕方がない。
「まぁこんなものね、お疲れ様」
やっと終わった。
流石に1時間もやっていると疲れてくる。
「それじゃあこれからお昼にしよっか」
もうそんな時間かと時計を見ると12時を過ぎたくらいになっていた。
ぐぅ~っとお腹が鳴る。
母さんとリアが2人揃ってケラケラと笑った。
その恥ずかしさを隠す為に話題を逸らす。
「母さん、俺はどんくらい寝てたんだ?」
「 そうね~大体丸一日は寝てたんじゃないかな?」
どうりでお腹がすく訳だ。
「ほら、お腹空いたんでしょ。早く準備しちゃいましょう」
─ご飯ができた。
パンにポタージュ、キノコと鹿肉のソテー。
どれも出来立てで湯気が上がっていて、さらに食欲を掻き立てる。
「いただきます!」
みんなで手を合わせる。
こんな美味しそうなご飯は我慢出来るわけがない。
早速ソテーから食べようとするとリアが話しかけてきた。
「お兄ちゃん、あ~んして」
言われるままに口を開ける。
口に広がるのは鹿肉とキノコの旨味。
野生特有の獣臭さは無く、母さんの料理の腕前が伺える。
「すごい!!とってもおいしいよ、これなら五人前でも食べられるな!」
「えへへ、でしょ!お母さんの料理は世界一なんだ!」
誇らしそうに言った。
「2人とも嬉しいこと言ってくれるわね、ありがとう」
お昼ご飯を食べて片付けをし、今はリアに連れられて外を散歩している。
「あらまぁ、かっこいいじゃないの。良かったら娘の婿にならない?」
「バルトルト君って言うんだ。これからよろしく」
リアは村の人に自慢したかったらしく、それに合わせて挨拶回りをしておいた。
「それにしても、この村の人達はいい人ばかりだね。」
村と言う狭いコミュニティ知らない人が来たのに誰も嫌な顔一つせず受け入れてくれた。
「そうなの、この村のみんな優しいんだ!」
リアがニカッと笑いながらそう言った。
気づけば日が暮れそうになっていたので急いで家に帰った。
ご飯を食べて、3人でお喋りをする。
リアがもっと小さい頃の話、村のこと沢山のことを聞いた。
「もう、こんな時間だし寝ましょうね」
ランプの灯を消し、それぞれの部屋に戻って布団に入る。
色んなことがあって、大分疲れてしまった。
なくなった記憶は何も思い出せない。
「まぁ、いつか思い出すか」
そう呟き、目を閉じて眠ろうとする。
すると、ドアが開いたのに気がついた。
振り向く気力も無く、そのままにしていると、布団の中に誰かが入って来た。
気になり、恐る恐る聞いてみる。
「リアなの?」
「うん、ちょっとさみしくなって・・・。一緒に寝てもいい?」
「うん、いいよ・・・」
体をよじり、リアの方を向く。
彼女は小さな体を丸めて俺の腕の中で寝息を立て始めた。
子供の体温は暖かくて心地良い。
彼女につられてすぐに眠りについてしまった。
─息が出来ない。
気が付くとちゅうにぶら下がっていて、首がなわでしめつけられている。
つらい、くるしい。
手がなぜかうごかない。
気どうがかくほできない。
「あ・・・ぐっ!」
もがけばもがくほどくるしくなるかんがえることがままならないめのまえがすこしづつまっくらに・・・なって・・・
ハッと目を覚ました。
「はぁ・・・夢?・・・なのか」
寝汗で服が体にまとわりついて気持ち悪い。
深呼吸しても心臓の拍動が落ち着かない。
リアはまだぐっすりと寝ている。
カーテンの隙間から薄明かりが差し込んでいるのに気がついた。どうやらもう朝のようだ。
彼女を起こさないようにベッドから降り、水を飲むために家の裏にある井戸から水を汲む。
田舎だからなのか上下水道はついていない。
汲んだ水桶の水面を見ると、驚いて尻もちをついてしまった。
さっきよりも心臓の鼓動が早くなり、体に響いてくる。
俺の心は恐怖と焦りに支配され、起き上がろうとしても上手く立てない。
全身に鳥肌が立ち、冷や汗をかく。
首にはロープの痕が赤く腫れてくっきりと入っていた。
あれは夢じゃなく、現実で起きていたことに気が付いてしまった。
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