第2話 家族

長い間寝ていたのか頭がボーッとする。


体を軽く起こし、周りを見るとベッドの横の椅子で少女が眠っていた。


10才くらいで金髪ロングに白いワンピース。


いかにも童話の世界に出てきそうな少女だ。


起きたのに気がついたのか、彼女も目を覚ます。


彼女は小さくあくびをしながら俺の額に手を当てた。


「おはようございます・・・熱の方は大丈夫そうですね」


ホッとしたように軽く溜め息をついた。


「なんでこんなところに?ちょっと記憶が曖昧でね」


「私が森で遊んでる時にお兄さんが倒れてるのを見つけたの」


中々状況が飲み込めず、混乱していたところに彼女が説明をしてくれた。


「君が看病してくれたのか、ありがとうね」


彼女は少し嬉しくなり、赤らめた顔を隠した。


彼女と会話をしていると、この声に気づいたのか扉を開けてこの子の母親らしき人が入ってくる。


「あらあら、やっと目を覚ましたのね。良かったわ。それにしてもびっくりしたのよ、この子が半べそかきながら戻ってきたと思ったらあなたが倒れてたんだから」


「こんな田舎に手ぶらでどうしたのよ」


「えっと・・・あれ?」


ちょっとどころの話じゃない。


何をしていたのかも、自分が誰なのかも分からなくなってきた。


流砂にはまってしまった様に思い出そうとするほど記憶が深く呑み込まれている。


「──何も分かりません。自分のことが・・・」


数秒の時が流れ、少女は口を開いた。


「なら、わたしたちと一緒に住もうよ。いいでしょお母さん! 」


母親は深く考え込んだ。


「う~ん・・・わかったわ、何も覚えていないわけだし。一緒に住みましょ」


そんな唐突な提案に豆鉄砲を食らった様な顔してしまったがすぐに落ち着いて


「これ以上迷惑かける訳にはいかないんで」


そうきっぱりと断った。


「あなたね、恩は貰えるうちに貰っときなさいよ」


「・・・じゃあ、よろしくお願いします」


ここまで言われたら流石に断るわけにはいけない。


幸い2人とも自分に悪い印象は持っていないので少し不安は残るものの、記憶が戻るまで一緒に住むことになった。


「ホントに!じゃあね・・・お兄さんのことお兄ちゃんって呼んでもいい?」


「うん、もちろんいいよ。君のことはなんて呼んだらいいかな?」


「え~っとね、リアって呼んでほしいな」


「うん、わかった。よろしくね、リア」


「こちらこそこれからとしてよろしくね、お兄ちゃん」


一瞬彼女が言った家族と言う言葉に何か重いものを感じたが、そのまま流してしまった。


体に横に揺らし、足をパタパタさせて興奮気味な彼女を母親が落ち着かせ、少女はこの部屋から出て行った。


「ごめんね~ほんとに。普段はもっと落ち着きのある子なんだけど・・・。あの子ずっと兄妹に憧れてたのよ。他の家のお兄さんを見て『わたしもお兄ちゃんほしい』ってね。だから少しの間だけだけどあの子のお兄さんになってあげてね」


「はい、リアのお兄ちゃんとして頑張ります!」



「あとせっかく家族になったんだから敬語は禁止ね」


「わっ、わかったよ。母さん」


これからは大変になりそうだ。

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