第3話 小さな勇気
放課後の帰り道、まだ夏の名残が残る夕暮れの空を見上げながら、少年・光(ひかる)は一人で歩いていた。小学校六年生。クラスの中心にはなれず、友達と過ごす時間も少ない。家に帰れば両親は忙しく、話す相手もいない。毎日が少しずつ重く、心に小さな寂しさを積み重ねていた。
角を曲がると、商店街の奥に橙色の光が揺れていた。「喫茶 月影」。光は立ち止まる。子どもだけで入っていいのか迷ったが、胸の奥がざわつき、足が勝手に扉へ向かう。
カラン、と鈴が鳴る。店内は柔らかな光と木の香りに包まれていた。カウンターの奥に立つ店主が、微笑みながら手を振る。
「いらっしゃい。どうしたの?」
光は少し戸惑いながら、無言で席に座る。店主は小さなカップを差し出した。中身は温かいミルク。口に含むと、甘く優しい香りが広がり、胸の奥がふっと軽くなる。
「学校で、友達とうまく話せなくて……」
小さな声で打ち明けると、店主は静かに頷き、こう言った。
「勇気とは、大きなことをすることではありません。小さな一歩を踏み出すことです」
光は考えた。友達に話しかける勇気。先生に質問する勇気。失敗してもいい、ただ一歩を踏み出せば、何かが変わるかもしれない。
店主はさらに言葉を重ねた。
「誰かと心を通わせるのは怖いことです。でも、怖いと思う気持ちを持ちながらも、一歩を踏み出せる人は強いのです」
光はその言葉を胸に刻み、少しずつ心が軽くなるのを感じた。店内の時計を見れば、外はすでに夜の帳が降りていた。
「そろそろ帰ろうか」
店主の声に頷き、光はカップを置いて立ち上がる。店を出ると、夜風が頬を撫で、街灯の光に自分の影が揺れる。胸の奥に小さな光が灯っていることを、彼ははっきりと感じた。
翌日、学校の教室。光は勇気を振り絞り、隣の席の友達に話しかけた。ぎこちなくても、声をかけた瞬間、心が少し軽くなるのを感じる。休み時間には、手を挙げて先生に質問もしてみた。
放課後、光は友達と一緒に校庭で少しだけ遊ぶ。笑顔がこぼれ、胸の中に温かい感覚が広がる。小さな勇気の積み重ねが、世界を少しずつ明るくしているのを実感したのだった。
その夜、光は再び「月影」の前を通る。扉の奥には、柔らかい光と微笑む店主の姿。少年は小さく手を振る。
「ありがとう。また来るね」
店の扉は静かに閉まる。光は家へ向かいながら、自分の中に芽生えた小さな勇気を胸に、未来へ一歩を踏み出していった。
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小さな勇気を得た光は、学校で少しずつ友達を増やし、勉強やクラブ活動にも積極的に挑戦するようになった。失敗もあるが、それを恐れずに行動できる力を手に入れたことで、心の孤独は少しずつ和らぎ、日々の小さな喜びを楽しめるようになった。
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ここからは筆者です
誰にも読まれず死蔵になるかと思ったら以外によんでくれた方がいました!!!!!
個人的には忘れられたバカのほうが伸びると思ったんですけどね。ハートが10超えたら続き(多分15話ぐらい?)投稿させていただくのねお願いします。
忘れられたバカも読んでくれたら嬉しいです!!!!!!!!!!!!
月影の喫茶店 @QDDUyiWa
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