第22話「家族会議」

その夜。

 リビングに呼び出されると、父さんが真剣な顔で座っていた。

 母さんも少し不安そうな表情をしている。


「正直に答えろ。お前たち、付き合ってるのか?」


 空気が一瞬で凍る。

 葵が顔を真っ赤にして俯いた。


「……はい」


 小さな声だったが、確かに聞こえた。

 父さんの眉がぴくりと動く。


「ふざけるな。兄妹だぞ、お前たちは!」


「血はつながってないだろ!」


 思わず声を荒げる。

 父さんが机を叩き、母さんが慌てて止めに入った。


「落ち着いて!」


「落ち着いていられるか! このままじゃ家族が壊れる!」


 父さんの怒鳴り声に、葵が涙をこぼす。


「私……お兄ちゃんと一緒にいたいです」


「葵!」


「もう嫌です、誰にも引き離されたくない!」


 泣きながら部屋を飛び出す葵。

 追いかけようと立ち上がると、父さんが腕を掴んだ。


「今すぐ別れろ。そうでなければ——」


「絶対に別れない」


 睨み返して腕を振りほどく。

 そのまま玄関を飛び出し、葵のあとを追った。


(絶対に守る。誰が相手でも——)


 夜の街を走る足音だけが響いた。

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