第14話「はじめての告白」

翌日の放課後。

 昨日の会話が頭から離れないまま、葵と並んで家に帰った。


 玄関を入ると、母さんも父さんもまだ帰っていない。

 リビングには、二人きり。


「……昨日の続き、話してもいいですか?」


 葵がそう言ってソファに座る。

 俺も向かいに座り、息を整えた。


「……俺、お前が他の男と笑ってるの嫌だ。たぶん……いや、絶対」


 言葉が喉にひっかかる。けれど、もう止められなかった。


「俺は、お前のことが好きだ。妹としてじゃなくて、女の子として」


 沈黙。

 葵は目を見開いたまま、ぽろぽろと涙をこぼした。


「……よかった。私もずっとそう言いたかったんです」


 小さな声でそう言って、そっと笑う。


 気づけば、俺は葵の手を握っていた。


「じゃあ……これからは、恋人ってことでいいのか?」


「……はい。兄妹だけど、恋人です」


 その瞬間、心臓が壊れそうなくらいに跳ねた。


 二人で顔を見合わせ、照れくさそうに笑い合う。

 こんなに嬉しいのに、同時に背中に冷たいものが走った。


(両親にバレたら、どうなるんだ……?)


 けれどその不安よりも、葵の笑顔の方がずっとまぶしかった。

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