【おまけ改】 青春男と復讐(NTR)男

 少しするとパトカーが到着。

 事情を説明すると、溝口は“逮捕”された。

 なんと、溝口はただ不法侵入しただけではなかったのだ。


 燐の部屋から現金二万円を盗み出し、下着も溝口のカバンの中から見つかった。しかも、それは燐のものではないという。……どういうこと?


 のちの調査で判明したのだが、溝口は『闇バイト』に応募していたようだ。数件の余罪があり……その手癖の悪さから、燐の部屋から現金を盗んだようだな。

 下着は、恐らくその闇バイトの犯行中に盗んだものだろうと推測された。……なんて野郎だ。こんなクズ野郎だったとは……!



 ――三日後――



 溝口の悪行は、学校中の噂となり――ある意味では“伝説”となっていた。俺のクラスでも連日、ヤツの話で持ち切りに。



「ねえ、溝口先輩が逮捕されたって」「ああ、知ってる。隣のクラスの保志野さんの部屋に侵入したんだってな」「お金を盗んだってさ」「闇バイトもやってたらしい」「黒すぎでしょ~。怖」「いくらイケメンでも犯罪は許されないよなぁ」「調子に乗って生きてきたツケだろ」「何人もの女子と肉体関係があったらしいし」「あー、妊娠させたって聞いた」「最低の男だな!」



 芸能人の不祥事レベルで話題となっていた。

 ここまでの犯罪をしでかした溝口は、強制退学となったようだ。学校側もさすがに闇バイトをしているような生徒をかばいきれない。

 そんなわけで、溝口は現在、留置所にいるようだ。

 ……ようやく真の平和が訪れたな。



「……みんなウワサしてるね」



 隣の席の小雨さんは苦笑していた。という俺も、まさかここまで大事になるとは思わず、微妙に複雑だった。けれど、溝口がとんでもなくヤバいヤツで、悪魔のような人間であることが周知され、俺はホッとしていた。

 これでもう俺のような被害者が出ることもないだろう。


 あれから、安曇さんも安心していた。あの男が消えてくれて心底嬉しいと。



 それと幼馴染の燐。

 アイツは事件のショックで不登校気味になっているようだ。そりゃ、股を開いた相手が無断で部屋に侵入……しかも、現金を奪ったとか闇バイトをしていたとか聞かされてたら、卒倒する。

 これで燐もりたことだろう。

 しばらくはそっとしてやるか。

 話すことも……ないかもしれないが。



「小雨さん」

「ん?」

「もう安心だな」

「そうだね。霜くんと一緒に楽しい学校生活を送れるよ」

「…………っ!?」


 突然の笑顔と優しい言葉に俺はドキッとした。小雨さん、それはクリティカルすぎるって。



 ・

 ・

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【某留置所】※Side:溝口



 最悪なことに、俺は三日前に誕生日を迎えて18歳になっていたが為に『留置所』送りとなった。今の日本の法律では成人扱いらしい。クソが!

 金欲しさに闇バイトに手を染めてしまったせいで、最大20日間勾留されることに。……ふざけんじゃねえッ!!


 どうしてこうなった。


 ……いや、あの男……燐の幼馴染だとかいう『相楽 霜』のせいだ!


 アイツのせいで俺は逮捕されるハメになったんだ。

 許さねえ!!

 ぶっ殺してやる!!


 幸い、人は殺していない。だからどうせ留置所から出られるさ!

 娑婆シャバに出たら、相楽 霜に復讐してやる。


 …………そうだ、あの白ギャル。可愛かったなァ!


 アイツの目の前でブチ犯してやる! また寝取ってやる!



 ……今に待ってろ、相楽。

 こっちには最強の味方がいるんだぜ。

 そのうち弁護士が保釈請求してくれるはずだ。



 ハハ……ハハハハッ!



 ・

 ・

 ・



 溝口が消え去り、俺の高校生活は明るくなっていた。

 以前よりも楽しくなり、人との会話も増えた。特に、小雨さんとの距離感はぐっと縮まった気がする。


 放課後になって直後――小雨さんが一緒に帰ろうと誘ってきた。



「あと、カラオケいかない!?」

「カ、カラオケ……行ったことないな」

「そうなの!? なら、経験だね」

「んー、そうだな。小雨さんと一緒なら楽しそうだし」

「……ちょ、霜くん。それ嬉しすぎだって」


 抱きついてくる小雨さん。……当たってる。とても柔らかいものがっ。

 ……正直、歌はあまり得意ではない。でも、小雨さんのお誘いを断る理由もない。一緒にいて楽しいし、小雨さんのことをいろいろ知りたい。


 もう燐も溝口も関係ない。

 真の青春を俺は謳歌おうかする。



【おまけ改二へ続く】

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