第26話 雷龍の咆哮

​雷狼を倒したライオネルは、その場に膝をついた。体中の力が抜け落ち、息をするのもやっとの状態だった。カインとの修行で得た新たな力は、確かに雷狼を打ち破る鍵となったが、その代償も大きかった。


​「ヴァルカン、やったぞ…!」

​ライオネルは、かすれた声でヴァルカンに語りかける。その時、彼の背後から、地響きのような唸り声が響いた。


​「バカな…まだ、いたのか…!」

​ライオネルが振り返ると、そこに立っていたのは、雷狼とは比べ物にならないほど巨大な、雷龍サンドラゴンだった。その鱗は雷光を帯び、鋭い爪からは雷が迸っている。ドラゴンは、雷狼を倒したライオネルに、怒りの咆哮を上げた。


​「ライオネル! 逃げろ! こいつは、今の疲弊したお前が相手にできるような存在ではない!」

​ヴァルカンの声が、かつてないほどの焦りを帯びていた。

​ライオネルは、ヴァルカンの言葉に従おうとしたが、彼の体は、疲労困憊で動かなかった。

​雷龍サンドラゴンは、ライオネルに向かって、口から巨大な雷のブレスを放った。ライオネルは、最後の力を振り絞り、雷の盾を創り出した。しかし、雷龍のブレスは、ライオネルの盾をいとも簡単に貫き、彼を吹き飛ばした。

​ライオネルは、地面に叩きつけられ、意識が朦朧としていく。彼の体からは、血が流れ、骨が折れる音が聞こえた。雷龍は、ライオネルに止めを刺そうと、巨大な爪を振り上げた。

​その時、ライオネルの脳裏に、セシリアの笑顔が浮かんだ。

​(セシリア…俺は、まだ…)

​ライオネルは、最後の力を振り絞り、雷の力を体に集中させた。彼の体から、まばゆい光が放たれる。しかし、その光は、雷龍の爪の輝きに比べれば、あまりにも弱々しかった。

​雷龍の爪が、ライオネルに振り下ろされた。ライオネルは、目を閉じ、死を覚悟した----------

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