第27話 導き

​​雷龍サンドラゴンが振り下ろした巨大な爪が、ライオネルに迫る。死を覚悟したライオネルは、目を固く閉じた。その時、彼の体を、強烈な突風が包み込んだ。


​「な、何だ…!?」

​ライオネルは、突風に吹き飛ばされ、雷龍の爪が振り下ろされる場所から遠く離れた。彼は、突風によって、山の中腹から麓へと、一気に吹き飛ばされていた。

​「ライオネル! 誰かが、お前を助けたようだ!」

(この力……まさか……)

​ヴァルカンの声が、驚きを隠せずに響く。ライオネルは、ボロボロになった体を起こし、山を見上げた。雷雲に覆われた山頂から、一筋の光が放たれているのが見えた。

​(あの光は…一体…?)

​ライオネルは、その光が何なのか分からなかった。しかし、その光が自分を救ってくれたことは理解できた。

​「誰かは分からないが、助けてくれて感謝する…!」


​ライオネルは、そう呟くと、街へと戻ることにした。彼の体は、ボロボロだったが、彼の心には、希望が満ちていた。自分を助けてくれた、見知らぬ誰か。その存在が、ライオネルに新たな力を与えていた。

​「ヴァルカン、誰が俺を助けたんだと思う?」

​ライオネルの問いに、ヴァルカンは静かに答えた。

​「おそらく、この山に棲む、お前と同じ神の力を持つ者だろう。だが、なぜお前を助けたのかは分からん。もしかしたら、お前が神の雷を操る姿を見て、興味を持ったのかもしれないな」

​ライオネルは、ヴァルカンの言葉に頷いた。彼は、自分を助けてくれた存在に、会ってみたいと思っていた。そして、彼から、自分の雷の力について、もっと知りたいと思っていた。

​ライオネルは、ボロボロになった体を癒すため、街へと戻ることにした。しかし、彼の心は、希望に満ちていた。自分と同じ神の力を持つ存在。その存在との出会いが、ライオネルに新たな道を示すことを、彼は予感していた。

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神を恨む俺は魔王に弟子入りする。 りい @Lee_Laska

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