第24話 雷鳴山へ
リリアから受け取ったクエストの紙を握りしめ、俺は雷鳴山へと向かっていた。その山は、麓からでも常時雷鳴が轟いているのが聞こえるほど、不気味な存在感を放っていた。
「ライオネル、この山はただの山ではない。神の理から外れた、特別な場所だ」
ヴァルカンの声が、俺の心に響く。カインから教わった雷の力を制御する方法を思い出し、俺は雷鳴山への道を歩き始めた。
山に入ると、雷鳴がさらに大きくなった。同時に、周囲の木々や岩が、微かに雷を帯びているのが感じられた。道は険しく、冒険者たちが、なぜこのクエストを避けようとしたのかが理解できた。
最初に出会ったのは、岩肌と同化しているロックゴーレムだった。奴は、俺が近くを通りかかると、鈍い音を立ててその巨体を起こした。琥珀色の瞳が俺を捉え、巨石でできた拳を振りかざして襲いかかってきた。
俺は、ゴーレムの動きを読んだ。奴の動きは遅く、力任せの一撃は、いくら巨体でも隙が生まれる。俺は、雷の力を足に集中させ、一気に間合いを詰めた。奴の拳が地面を叩きつけ、轟音が鳴り響く。その衝撃波を軽やかにかわすと、俺はゴーレムの左腕を駆け上がり、胸に到達した。
「喰らえ!」
俺は、雷を纏った拳で、奴の弱点である胸の核を打ち砕いた。ゴーレムは、苦悶の叫びを上げることなく、バラバラの岩の塊となって崩れ落ちた。
さらに進むと、今度はサンダーバードの群れが現れた。奴らは、黒い雷雲の中から現れ、空から雷撃を放ってきた。
「ヴァルカン、どうすればいい?」
「奴らも同じ雷を使う。貴様は修行で得た新たな力で倒せ」
俺は、ヴァルカンの言葉に従い、雷の力を盾のように展開した。サンダーバードが放つ雷撃が、俺の雷の盾にぶつかる。雷撃は、俺の盾に吸収され、光の粒子となって消えていった。
「よし!」
俺は、雷の力を空に放った。俺の雷は、空高く舞い上がり、サンダーバードの群れを次々と撃ち落としていった。
そうしてサンダーバードを倒し先に進むと道はさらに険しくなり、山の中腹に差し掛かると、あたりは濃い雷雲に覆われ、視界が悪くなった。その中で、一際強い魔物の気配を感じた。それは、まるで雷そのものが形になったような、巨大な雷狼だった。
雷狼は、咆哮を上げ、ライオネルに向かって雷の塊を放ってきた。
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