第19話 魂の雷
カインとの修行は、ライオネルにとって、これまでの雷の訓練とは全く異なるものだった。ヴァルカンから教わったのは、あくまで雷の力を「使う」こと。しかし、カインは、炎を通して、ライオネルに雷の力を「理解する」ことを教えてくれた。
「雷は、ただの光じゃない。それは、お前の心そのものだ。喜び、怒り、悲しみ、そして、願い。その全てを雷に注ぎ込め。そうすれば、雷は、お前の思い通りに姿を変える」
カインの言葉通り、ライオネルは自分の感情を雷に込める練習を続けた。最初はうまくいかなかった。彼の雷は、ただの破壊の力でしかなかった。しかし、セシリアの死の悲しみ、アルスを救いたいという願いを雷に込めたとき、雷は彼の心に応えるかのように、形を変え始めた。
ある日、カインは、ライオネルの雷の力を試すために、巨大な炎の塊を作り出した。
「さあ、アンタの雷で、この炎を消してみな」
ライオネルは、雷を放った。しかし、彼の雷は炎を焼き尽くすこともなく、ただ爆発するだけだった。カインは、首を横に振った。
「違う。それは、ただの破壊だ。炎を消そうと思うな。炎を、お前の雷で包み込め」
ライオネルは、カインの言葉を胸に、再び雷を放った。セシリアを失った悲しみ、アルスを救いたいという願い。その全てを雷に込め、炎の塊を包み込むように雷を放った。
すると、雷は炎を焼き尽くすことなく、炎の周りを螺旋状に駆け巡り、炎の力を吸収していった。炎の塊は、やがて光の粒となり、消えていった。
「素晴らしい。お前の雷は、もう破壊の力だけじゃない。それは、創造の力だ。お前の雷ならなんだって出来るかもな」
カインは、満足そうな笑みを浮かべた。
ライオネルは、カインとの修行を通して、自分の雷の力が、特別であることを理解した。
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